2024年5月、ホンダは四輪車の電動化を中心とする取り組みについて説明会を開催し、三部敏宏社長は改めて電動化へのホンダの決意を語った。ホンダの「2024ビジネスアップデート」が描く未来は明るいのか!?
※本稿は2024年6月のものです
文:中西孝樹、ベストカー編集部/写真:ホンダ/予想CG:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年7月10日号
■変革への決意を感じる
本田技研工業(ホンダ)の三部CEOは毎年春にビジネスアップデートを実施してきた。就任直後、2040年までにすべての新車を電気自動車(EV)と燃料電池車に切り替える方針を定め、2024年は、2026年から始まる第3世代のEV事業の詳細を発表した。
同時に、蓄電池、半導体などを内製化する垂直統合戦略に沿った2030年までの投資計画をアップデートした。10年間の投資額は従前の5兆円を10兆円に引き上げ巨額投資を実行する。この覚悟を決めた攻めの経営の背景には変革を目指す強い決意がある。
本田宗一郎がホンダを創業したのは1948年だ。エンジンを強みに二輪・四輪で基盤事業を築き上げた。しかし、世界はデジタル化が進みカーボンニュートラルを目指す重大なトレンドの中にいる。エンジン技術に頼ってホンダが100年先へ発展を続けるには限界がある。
脱エンジンを起点とし新事業領域や新たな提供価値(アバターロボット)を拡張し、第2の創業を目指そうとしているわけだ。その思いのなかでの電動化戦略であり、持続可能なEV事業への構造転換を実現しなければ、創業どころか廃業となりかねない。
電池、AI、ソフトウエアの垂直統合を進め、効率が高く収益を確保できるEV事業を進めなければならない。今回、多額な投資を実施しながらも収益を維持し株主還元も継続できるというシナリオを示したことは評価する。
ただし、100点満点の75点が筆者の評価だ。第3世代は電池で20%、製造費用で35%改善するというが、これでEVの営業利益率が5%になるような単純な話ではない。
カナダで生産する第4世代EVは一段と軽量化し電池搭載量を削減、モノづくりを抜本的に変革し、AIが生み出す斬新な価値も創造しなければならない。これらが成功して初めて第2の創業はスタートに立てる。
(TEXT/中西孝樹)
■2030年に向けてホンダはどんなクルマを投入する?
2026年に新EV「0シリーズ」の最初のモデルを投入するホンダ。EVスポーツも当然計画に入る。だが、一方で2030年に向けてはハイブリッドも重要なパワートレーンと明言。今回のビジネスアップデートでもe:HEVの進化を宣言した。
現在e:HEVの4WDもメカニカル式を採用するが後輪モーター駆動を新開発。北米向けSUVなどにも搭載するというが、プレリュードにもこれが採用される可能性が高い。
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