「このまま販売されて欲しい」と思わせるが、結局市販化はされず…というのはコンセプトカーでは良くある話だ。しかし世界には「出ないのでれば自分たちで作ってしまおう」と考えるクルマ好きが存在している。しかも作ったのが超ド級のモンスターマシン…恐ろしいスケールの話をお届けしよう。
文:古賀貴司(自動車王国)/写真:ベストカー編集部・@nomusclegarage(インスタグラムより)
■大きな話題になった大型コンセプトモデル
メルセデス・ベンツは2017年8月、カリフォルニア州ペブルビーチのクラシックカー祭典にて「ビジョン・メルセデス・マイバッハ6カブリオレ」を披露した。
このコンセプトカーは前年のビジョン・メルセデス・マイバッハ6クーペの流れを汲んだもので、ロングノーズとショートデッキの伝統的な2ドアデザインが特徴的だった。
全長はなんと5700㎜、全幅は2100㎜もあり、現代の2ドアクーペ/カブリオレとしては斬新な寸法だった。
そして、ホイールも24インチと巨大。市販車で求められる空間効率をあえて無視して、優美さだけを追求したかのようなデザインを持つコンセプトカーで、ハードウェアはAIや電気モーターを満載したメルセデス・ベンツが思い描く未来の自動車像を示す手がかりとなっていた。
ちなみに最高出力は550kW、4輪インホイールモーターを搭載し、航続距離は500km以上と謳われていた。
しかし、さすがに優美過ぎたのか、市販化されることはなかった。
しかし、「作らぬなら、作ってみせよう」と言わんばかりにロシアの自動車愛好家がレプリカ製作に挑んだようだ。
■ベースはSL(R230型)のようだが…
残念ながら詳細は不明だが、自動車コンテンツ・クリエイター(@nomusclegarage)のインスタグラムに投稿された写真が話題を呼んだ。
写真は製作途中のモノと思われる2枚で、街中で停車中の写真4枚だけだが、驚くほどの完成度(コピーの精度)の高さが伝わってくる。
ベースとなっているのはメルセデス・ベンツSL(R230型)であることは分かるが、どのようにしてビジョン・メルセデス・マイバッハ6カブリオレのプロポーションに仕立てたのかは謎だ。
リアはボディパネルを延長し、リアホイールにはスペーサーを“噛ませて”ワイド化していることは容易に想像がつく。
フロントタイヤの位置は、R230型よりも遥かに“前方”に移設されており、これはシャシーを切断して延長させる大がかりな板金作業ぶりが推測できる。R230型はステア・バイ・ワイヤーではなかったので、ステアリングコラムも無理やり延長していると思うと…、走行性能にはやや疑問が残る。
■ボディ成形も謎が残るが仕上がりは見事
ただし、ボディパネルは地道に叩き上げたにしても、実に見事な仕上がりだ。
加えてヘッドランプ、ドアミラー、テールランプもコンセプトカーのものと見比べても全く遜色がない。デザインだけが似ていて、実際はダミーなのだろうか?それとも3Dプリンターの恩恵なのだろうか? ボンネットのエアアウトレットだけはR230型と同じものを装着している。
インテリアの写真は一切ないが、ちょっとだけ見えるシートの上部はR230型のモノが付けられている。
このレプリカの走行シーンがあればもっと色々なことがわかるのだが、現在どこのSNSにも動画はなし。必死に検索してみたが、言葉の壁が思いのほか高かった…。
感服に値するほど見事な板金技術ではあるが、安全面での懸念は残ることは付け加えておく。
【画像ギャラリー】DIYのレベルじゃないよマジで!! 衝撃の完成度がコレ(7枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方本当素晴らしい。こういうの拾って記事にしてくれるの楽しいですね。
ただ残念なのはニュースサイトでこういう話になる度に、日本では規制で無理だからーと批判的なコメントが沸きます。
その「まともで真っ当な日本の規制によって守られてる」ことを、なぜか忘れてしまう。暴走族や外国人迷惑運転など様々な経験を経て、国民を守れる法になっている日本。一度考えれば、命軽視な州法の多い国じゃなくてよかったはずなんです