2001年に「タウンエースノア」「ライトエースノア」という車名から統一されてカローラ店向けの車種「ノア」となり(その時点でネッツ店向けの「ヴォクシー」も誕生)、そこから3代目となる2014年には(トヨタ店・トヨペット店向けとして)「エスクァイア」を追加。
現在は平均で単月合計約1万5000台を販売する大ヒットミニバンに成長したノア/ヴォクシー/エスクァイアが、岐路に立たされている。
トヨタの販売系列統合により、車名の統一が近づいているのだ。
ではこの人気のノア/ヴォクシー/エスクァイアは、どの車名で統一されるのか。
販売事情に詳しい流通ジャーナリストの遠藤徹氏が、現時点での情報を収集してきてくれた。
文:遠藤徹 写真:トヨタ
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■売れている車名に統一されるのが常道
兄弟車を1車種に統合する場合は、「最初に発売になったモデル」ないし「最も売れ行きの良い人気モデル」にするのが一般的である。
トヨタの大ヒットミニバン、ノア/ヴォクシー/エスクァイアの場合、この3車種の今年1~8月における登録累計を見ると、ヴォクシーが6万2765台で前年同期に比べて1.7%増、月平均7846台と最も多く、次いでノア3万8057台、前年比2.2%減、月平均4757台。エスクァイア2万9145台、前年比7.2%増、月平均3643台の順となっている。
こうしたデータから、車名統合されるならば、ヴォクシーが残るということが有力となる。
ノアのほうが最初に発売されたので、こちらの選択肢もあったのだが、月販台数で3000台もヴォクシーのほうが多いのでは、ヴォクシーに軍配が上がるのは販売戦略上当然の判断といえよう。
なぜ販売台数が多いほうが優位か。「同じ車種に乗り換えたい」というお客への対策だ。
この種の量販モデルがフルモデルチェンジないしはビッグマイナーチェンジする場合、同一車種での代替え比率は約30%といわれる。したがって、保有台数が多くなり、次世代モデルではより販売台数を稼げることにつながる。
人気が高ければ代替え時の査定、下取り額が高くなるので、こちらについてもベターといえる。
首都圏にあるネッツ店の営業マンによると、
「ヴォクシーの5年後の中古車価格は約170万円でノアよりも約30万円高い。これは新車時の人気の高さだけでなく、中古車輸出時の引き合いの多さにも起因している。東南アジアなどに輸出されているが、見栄えが良く若者受けがよいヴォクシーだと高値がつくので、当然代替え時の下取り額が高くなる」
と指摘している。
■すでに東京では全車全店舗扱いとなっているが
この3兄弟のこれまでの扱い店はヴォクシーがネッツ店、ノアがカローラ店、エスクァイアはトヨタ店、トヨペット店となっている。
ボディパネル、エンジンなど基本コンポーネントは同じで、エクステリアデザインはヴォクシーが若者向けで個性的なかっこ良さ、ノアはファミリー志向でおとなしめ、エスクァイアはクオリティの高いつくりなどを強調している。グレードの呼称はヴォクシー、ノアは異なるが価格設定はまったく同じ。エスクァイアは15万円ほど高くなっている。
2019年4月からまず東京地区でメーカー資本のトヨタ4系列店が統合し「トヨタモビリティ東京」が発足し、3兄弟は全店扱いとなった。東京地区のトヨタモビリティ東京足立地区の某店営業マンは、
「3兄弟が全店舗で扱うようになり、次第に販売台数に格差が生じるようになっている。ヴォクシーがさらに抜け出して好調なのは、主にエクステリアデザインの見栄えの差によるものだ。やはりこの手のミニバンは派手な外装、押し出しの強いフロントマスクが好まれる傾向にある。ただ、たとえ車名が統一されたとしても、グレード名などでノアやエスクァイアの名前は残るだろうし、それぞれの雰囲気やテイストは引き継がれるはず」
と分析している。
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