■なんちゃってだけど魅力はいっぱい!
本格SUVを愛する人がなんちゃってSUVの存在に眉をひそめるケースもあるが、一般道専用と割り切って考えると、なんちゃってSUVにも利点は多数ある。
まずは最低地上高が普通のクルマとほぼ同じかやや高い程度なので、乗り降りや荷物の積み下ろしがしやすいこと。
これが地上高の高い本格SUVでは少々面倒になる。
そして車体が本格SUVよりも軽くて燃費に優れている、つまり経済的だということ。
悪路走行を想定しないのであれば、ボディやサスペンションの剛性をそこまで高くする必要はなく、結果としてクルマは軽くなる。
軽いクルマは燃費が良く、同じブレーキならば制動に必要な時間、あるいは力は少なくてすむ。
先にも書いたが、SUVタイプのボディは室内空間に余裕があり、搭乗者の頭上スペースも十分に確保できることに加え、荷物をたくさん詰めるのもありがたい。
さらにSUVの見た目は通好みというイメージもある。
このように、なんちゃってSUVには人気を集めるだけの理由がある。
とはいえ、山岳地帯などの悪路を走行する予定がある人には、十分な最低地上高とボディ剛性が確保され、サスもしっかりした4WDの本格SUVをお薦めする。
■このSUVはなんちゃってか? それとも?
最後はなんちゃってSUVともいわれるクルマをピックアップして紹介する。
ただし、なんちゃってが悪いということではなく、SUVと普通車の利点を併せ持ったクルマだと考えてほしい。
●トヨタ ヤリス クロス
ヤリスといえば、かつて日本市場ではヴィッツの名称で販売され、コンパクトカーの代表とも呼べる人気車。
そのヤリスの名を持つのがヤリスクロスだが、ボディサイズはヤリスより拡大され、デザインもSUV然としたものに改められている。
最低地上高は4WDモデルで170mmと、SUVというにしてはやはり低めだ。
●ホンダ ヴェゼル
現在は2代目が販売されているホンダのヴェゼルは、コンパクトカーのフィットをベースに開発されたモデルであり、この理由もあってなんちゃってSUVといわれることがある。
最低地上高は170~195mmとそこまで低くないが、悪路走行をするには少々足りず、日常使い用としての色合いが強い。
エンジンはガソリンとハイブリッドの2タイプをラインナップし、駆動方式もFFと4WDが用意されている。
●マツダ CX-3
マツダのクロスオーバーSUV・CX-3も、なんちゃってSUVと呼ばれるケースがある。
その理由は、SUVにしては車高、最低地上高ともに低めなこと。
最低地上高は160mmで、やはりこれは悪路走行を想定しているとはいえない。
エンジンはガソリンとディーゼルの2仕様があり、4WDモデルが用意されている点はSUVらしいとも考えられる。
●日産 ノート AUTECH クロスオーバー
2021年に登場した日産 ノートの派生モデルがAUTECH クロスオーバー。
クロスオーバーの名称どおり、ボディはノーマルのノートをベースにSUV化されていて、全高も高くなっている。
気になる最低地上高は150mmと、本格SUVと呼ぶには低い。
しかし、通常のノートよりは高く、4WDの強みによって雪道走行などでは高い性能を発揮してくれる。
当初はSUV風のロードカーを揶揄する言葉だった「なんちゃってSUV」だが、現在ではクロスオーバーSUVの人気が高く、なんちゃってSUVはクルマ市場を引っぱる存在でもある。
だからこそ、これから独自の発展を遂げる可能性を秘めたカテゴリーともいえる。
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