ターボ4WDを未来に残す闘い始まる! スバルのHiPerfXがほろにがデビュー!?

ターボ4WDを未来に残す闘い始まる! スバルのHiPerfXがほろにがデビュー!?

 スバルの未来に向けての戦いが始まった。スーパー耐久第3戦inオートポリス(5時間)でHIGH PERFOMANCE X FUTURE CONCEPT(略してHiPerfX:ハイパフォエックス)がデビュー。ST-Qクラスに出場し、水平対向サウンドをサーキットに響かせた! 結果はリタイアだったが、大きな第一歩を踏み出した。

文:ベストカーWeb編集部/写真:SUBARU、ベストカーWeb編集部

■CFN燃料ならこれからもターボや4WDといったスバルらしさが楽しめる

残念ながら周回数が足らずリタイアとなってしまったが、次戦9月7日のもてぎ戦が楽しみだ
残念ながら周回数が足らずリタイアとなってしまったが、次戦9月7日のもてぎ戦が楽しみだ

 スーパー耐久第3戦オートポリスでスバルのHIGH PERFOMANCE X FUTURE CONCEPT(略してHiPerfX:ハイパフォエックス)がデビューした。

 スバルのスーパー耐久への参戦は、技術開発と人材育成の2つの大きな目標を掲げてスタートした。その結果BRZで2年戦い、富士スピードウェイでのタイムを3秒縮めるなど、車両の進化という点では大きな成果を得た。

 人材育成の面でも機能の枠を超えた協力が生まれ、若いエンジニアたちに自信や誇りが生まれてきた。

スバルのアイデンティティといえる水平対向+ターボエンジンを採用
スバルのアイデンティティといえる水平対向+ターボエンジンを採用

 ハイパフォエックスはごらんのようにWRX S4とよく似たボディだが、それはスバルらしさ、これからスバルがやろうとしていることが詰まったモデルだからだと思えばいい。

 スバルのスポーツモデルの魅力と言えばWRXに代表されるように
1.水平対向エンジン+ターボ
2.プロペラシャフト付きAWD
 となるだろう。

 これまでスバルはBEV開発に注力してきたが、CFN(カーボンニュートラル燃料)を使うことができれば、CO2の発生を気にする必要がなくなる。エンジンならではの高揚感や操る楽しさをつきつめることも可能だ。

 スバルは5月に行われたマルチパスウェイワークショップで「これからも内燃機関を続けていく」と宣言したが、HiPerfXのスーパー耐久参戦は、新たな技術開発と人材育成を目的にしたものだ。

 スバルのやりたいことが遠慮することなくできる! エンジニアたちが笑顔でサーキットに集い、生き生きと作業する姿が印象的だった。

■水平対向+ターボのサウンドがサーキットにこだました

6速ミッションを採用するが、ミッションの進化にも期待したい
6速ミッションを採用するが、ミッションの進化にも期待したい

 エンジンはWRX S4やレヴォーグのSTI Sport-Rに搭載されるFA24、水平対向2.4Lツインスクロールターボに6MTを組み合わせたもの。

 スバルらしいたくましい加速と排気音を残してコーナリングをしていく姿は見ていて清々しいもの。CNFとのマッチングを聞くと「意外と相性がいい」との答え。これまでターボエンジンの場合、エンジンオイルにCNF燃料が混入してしまう「オイル希釈」の問題があった。

 しかし、テストの結果などを元に、燃料メーカーに揮発性のいいCFN燃料にするよう改良を申し入れ、問題も解決しそうだという。これはトヨタやマツダが同じP1というCNF燃料を使い、データを共有してきた成果ともいえる。

 ターボエンジンの魅力はやはりハイパワーにあるだろう。2.4Lターボなら400ps近いスペックがあってもおかしくはない。そのハイパワーに耐えられるシャシー性能とプロペラシャフト付AWDならではのダイレクト感や安心感をどう作り上げていくか、スーパー耐久の場で鍛えられていくことになる。

排気システムはフジツボ製で、音質のチューニングにも期待したい
排気システムはフジツボ製で、音質のチューニングにも期待したい

 参戦する開発車両クラスST-Qにはモリゾウさんの乗る水素エンジンカローラやバイオディーゼルを使うMAZDA3などが走る。予選は37台中29位と手探りの走りに終わり、期待された決勝もエンジンのトラブルから98周を走ったものの周回数が足らずリタイアとなってしまった。

「まだ、レーシングカーといえるものではなく、課題は山積です」とチームスタッフは話すが、表情は暗いものではない。「初戦なのでいろいろ出てしまいましたが、仕方ありません」とむしろ課題が見つかったことを前向きにとらえているようだ。

 スバルがスバルらしいクルマを作り始めたという点でHiPerfXの参戦は未来に向けての第一歩になるもの。エンジンやシャシー、AWDの制御を鍛えていくことに加え、軽量化にも取り組んでいくというから、次戦9月7日のもてぎ戦以降、どんどん速くなっていくはずだ。

 CNF燃料の普及がいつになるかはわからないが、「これだよ、これ!」とスバルファンやクルマ好きが歓喜に沸く日は必ずやってくるはずだ。

●HIGH PERFORMANCE X FUTURE CONCEPT主要諸元
・車両名:HIGH PERFORMANCE X FUTURE CONCEPT
・全長:4,670mm
・全幅:1,865mm
・全高:1,420mm前後
・ホイールベース:2,675mm
・エンジン:FA24 BOXER DOHC 16バルブ AVCS ツインスクロールターボ
・燃料:カーボンニュートラル燃料
・排気量:2,387cc
・最高出力:300PS以上
・最大トルク:400Nm以上
・駆動方式:DCCD[ドライバーズコントロールセンターデフ]方式AWD改
・トランスミッション:6MT
・ブレーキ:フロント:6ポット / リヤ:4ポット
・ホイール:BBS製 18インチ x 10J
・タイヤ:BRIDGESTONE製 260/660 R18

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