本誌『ベストカー』にて、クルマにまつわる変わったもの、見慣れないものを取材する連載企画『これは珍なり(略して『これ珍』)』。数ある企画の中から、官公庁のクルマオークションの話題をプレイバック!(本稿は「ベストカー」2013年7月10日号に掲載した記事の再録版となります。記事内容や紹介しているラインナップは本誌掲載時のものとなります。あらかじめご了承ください)
文:ベストカー編集部
■入札開始価格9万4500円! あの名車510ブルが公売にかけられた!!
官公庁オークションで公売にかけられるクルマをご存じの方も多いと思う。その多くは消防車や救急車、バスなど官公庁の公有財産売却による特殊車両や税金滞納などで差し押さえられた自家用車となるワケだ。
で、この官公庁オークション、いつ何が出てくるかわからず時折レアなクルマがひょっこり顔を出したりするのだが、そのケースに当てはまるのがまさに今回紹介する福岡市の公売にかけている日産3代目ブルーバードSSS(1969年式)。
そう、1970年のサファリラリーを制した名車であり、石原裕次郎主演の映画『栄光への5000キロ』の撮影でも実際に使われた、あの「510ブル」だ。
それにしても公売にこんな名車が出てくるなんて珍しいこともあるもんだが、さっそく出品した福岡市の担当部署である市民部納税課に話を聞いてみた。
すると、担当者は「市税の滞納者からの差し押さえ車両だったんです。最初は古いクルマだな、くらいにしか思っていなかったんですが、後で珍しいクルマだとわかってビックリしました」と、思わぬ掘り出し物に驚いたらしい。
(※2013年)5月24日に官公庁オークションで公売にかけたところ、この担当者宛で多くの旧車ファンたちから問い合わせを受けたのだそうだ。
「ミッションやエンジンなど車両の状態を詳しく聞かれたり、落札にはクレジットカード以外は使えないのか、などといった問い合わせの電話が数十件相次ぎました。私どもの公売でかけるのは自動車では今回のブルーバードが最初だったんですが、これほど多くの問い合わせをいただいたのも初めてでしたね」
(※2013年)5月30日には福岡市役所内で下見会が開催され、5時間のあいだに50人近くがこの510ブルを見に来たのだそうで、「下見会ではもちろん試乗などはできないんですが、皆さん熱心にボディの状態や内装などを眺めてらっしゃいました。公売の下見会でこんなに多くの方が訪れたのは過去には記憶にありません」とのこと。
ちなみに、この510ブルの状態に関してだが、1969年初年度登録で走行距離は不明。
登録事項証明書の走行距離表示値によると、1905年12月まで9万7200kmだったが、その後にメーターを交換して今年5月15日現在で611kmを指している。
1902年3月登録後は車検切れとなったままだそうだ。
肝心のエンジンの始動確認は福岡市では行なっていないらしいが、旧車に精通した専門家によると、エンジンオイルやプラグの交換、キャブレターの脱着分解整備、Oリング交換などを行なう必要があるとのこと。
外装関係は比較的コンディションがいいらしいが、やはりそれなりの経年劣化はあり、小さなサビや腐食した部分などは散見されたらしい。やはり、これは致し方ないところか。
落札者は現状渡しとなるので輸送費用や権利移転手続き費用などはすべて落札者の負担となる。
見積価額(入札時の開始価格)は9万4500円からスタートで、この金額は一般の自動車オークションを参考にしているとのことだった。
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