提携先のメーカーから自社が不得意とする車種を相互に補完するのがOEMモデル最大の役割で、その多くがバッジ違い程度というのがほとんど。でもスバルが送り出したトラヴィックはベースモデルとエンジンは違うは、足まわりは専用チューンなどかなり手の込んだ力作であった。このトラヴィックってマジでスバルらしさ満点でした!!!!!!!
文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部
■懐かしのドミンゴにエクシーガとスバル3列ミニバンは数えるほど……
スバルの3列シートモデルといえば、軽自動車のサンバーをベースに見事に3列7人分のシートを押し込んで1.0Lエンジンを搭載したドミンゴや、水平対向エンジンやシンメトリカルAWDなどスバルのアイデンティティはそのままに3列シートを備えたエクシーガ/エクシーガ クロスオーバー7が知られるところ。
しかし、特異な成り立ちを持ちながらもスバルらしさを存分に備えた3列シートモデルが過去に存在していた。それが2001年に発売されたトラヴィックというモデルである。
■ザフィーラより90万円安!! しかもスバルチューンの足まわりと抜かりなし
2001年に登場したトラヴィックは、当時スバルと提携関係にあったゼネラルモーターズ社との協力体制によって生まれたモデルであり、当時GMの傘下にあったオペルブランドから販売されていたザフィーラのOEMモデルとなっていた。
ただしザフィーラのエンブレムをスバルのものに置き換えただけのお気楽OEMモデルではなく、1.8Lエンジンを搭載するザフィーラに対してトラヴィックは2.2Lエンジンを搭載。足回りも日本のスバルユーザーが好むスポーティなものに変更されていた。
また、ザフィーラがドイツ本国の工場で生産されていたのに対し、トラヴィックはタイのGM社の工場で生産されたものを導入。それによりザフィーラが289万円からだったのに対し、トラヴィックは199万円からと90万円も安い価格となっていたのもポイントだった。
さらにトラヴィックに用意された「Sパッケージ」には、よりスポーティなスバル独自の味付けがなされた専用チューニングの足回りと16インチのアルミホイール、そしてスバルが独自に開発したエアロパーツを装着。
もともとトラヴィックのベース車であるザフィーラが持ち合わせていたドイツ車的な乗り味にスバルらしさが加味されたという、まさにファン垂涎の仕上がりとなっていたのである。
■トレジアも激アツだった!! スバルの精神はただ者じゃないのよ
なお、OEMモデルながら気合いが入れられたモデルはトラヴィックだけでなく、2010年に登場した2代目ラクティスのOEMモデルであるトレジアも同様。こちらは開発段階からスバルの技術者が参加しており、OEMモデルというよりは共同開発に近いものとなっていた。
このように、OEMモデルであっても必要とあらば手間暇を惜しまないというスバルの姿勢こそが、コアなファンを多く生む理由のひとつと言えるのかもしれない。
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