3代目プリウスの派生車種として登場したプリウスαは、5人乗り仕様と3列7人乗り仕様が用意されていた。プリウスよりも高級感のあるハイブリッド専売車としても評価を集め、一躍人気車種の仲間入りを果たしたのは記憶に新しいところ。しかしプリウスがフルモデルチェンジを果たしてもはモデルチェンジをすることなく、結局2021年春に1代限りで生産を終了した。
文/小鮒康一:写真/トヨタ
■なぜプリウスαは2代目が生まれなかったのか
5人乗り仕様ではプリウスよりも使い勝手のよい広い荷室を備え、7人乗り仕様では当然ながらプリウスよりも多くの人を乗せることができるという特徴を持っていたプリウスα。それだけに人気車種となったのも頷けるところだが、それならばなぜ2代目モデルが生まれなかったのだろうか?
それは時代の流れによるところが大きいだろう。というのも、プリウスαが登場した2011年はまだステーションワゴンの需要が今ほど低くなっておらず、近いキャラクターの車種はトヨタだけでもマークXジオ、アベンシスワゴン、ウイッシュ、アイシスなどがラインナップされていた。
しかし2020年代にはこれらの車種は全てラインナップから消えており、ユーザーの趣向が変化したことが見て取れる。
また2011年当時は3列シートを備えたハイブリッドモデルはエスティマハイブリッドしかラインナップになかった。
しかし、こちらも2020年代にはシエンタやノア/ヴォクシーなど複数のモデルが登場しており、スライドドアを持たないプリウスαを積極的に選ぶ理由がなくなってしまったことも間違いなく影響しているハズだ。
つまり、登場時は唯一無二の存在であったプリウスαも、時代の流れとともに近いキャラクターを持ち、よりユーザーが求めるものを備えたモデルが登場したことによって、プリウスαの必然性が大きく薄れてしまったというのが消滅の大きな要因と考えていいだろう。
実際、元祖ハイブリッドカーのプリウスですら、現行型の5代目が登場する際に消滅する可能性もあったと言われるほどなのだから、近しいキャラクターが増えてしまった今、プリウスαが姿を消してしまうのも止む無しだったのだ。
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