■ハイブリッド車のなかでは売れている
ただしハイブリッド車に限定した販売ランキングを算出すると、アクアの順位は決して低くない。例えば車名別販売ランキングでは、ヤリスとカローラが1位と2位を争うが、両車とも複数のボディタイプを合計したシリーズ全体の台数だ。ボディを区分して、さらにハイブリッド車のみになると、台数はかなり下がる。
直近となる2024年7月にトヨタのコンパクトなハイブリッドで好調に販売された車種は、シエンタハイブリッドが9100台、カローラクロスハイブリッドは7170台、ヤリスハイブリッドは4900台であった。アクアは6298台だから、ヤリスハイブリッドを上まわった。
他社のコンパクトハイブリッドは、日産のノートとノートオーラが多いが、それぞれ約4500台だからアクアの方が多い。このようにアクアは、以前よりは売れ行きが下がったが、ハイブリッドに限れば依然として堅調だ。
そこでアクアの売れ行きについて販売店に尋ねると以下のように返答された。
「10年ほど前までは、ハイブリッドを初めて購入するお客様が多く、5ナンバーサイズの先代アクアが好調に売れた。それが今は、ハイブリッドの優先順位が下がっている。まずは車種を決めて、次にハイブリッドかガソリンかを選択するお客様が多い。ハイブリッドへのこだわりが薄れると、アクアの売れ行きも下がる」。
しかしそれでも、アクアはコンパクトなハイブリッドとしては人気が根強い。その理由は何か。「先代アクアは販売が好調で、現行型へ乗り替えるお客様も多い。ボディはヤリスハイブリッドよりも少し大きく、後席の足元空間も広いため、ファミリーカーや社用車として使いやすいメリットもある」。
アクアZの価格は256万5000円で、ヤリスハイブリッドZの249万6000円に比べると高いが、アクアは販売店の指摘通り後席が広い。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)が50mm長く、後席の足元空間を拡大できた。
身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は、ヤリスハイブリッドは握りコブシ1つ少々だがアクアでは2つ弱になる。4名で乗車する時の快適性はアクアが勝る。インパネの周辺などの内装もアクアが上質だ。
さらにアクアはバイポーラ型ニッケル水素電池を使う効果もあり、ヤリスハイブリッドに比べて動力性能が少し上まわる。ホイールベースが長いこともあり、乗り心地も快適だ。
つまりハイブリッドならアクアの推奨度が高く、ヤリスは価格の割安なノーマルエンジンの搭載にメリットがある。
その一方でヤリスハイブリッドはボディが軽く、アクアよりも燃費性能が優れ、加速にも軽快感が伴う。今は同じトヨタの販売店で購入できるから、両車を乗り比べて判断すると良いだろう。
【画像ギャラリー】プリウスよりも売れていたアクアが売れなくなった理由とは?(6枚)画像ギャラリー
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