大雨危険[冠水]したら乗るな! モーターを積んだハイブリッド車やEVは危ない! 水没したら起こることとは

大雨危険[冠水]したら乗るな! モーターを積んだハイブリッド車やEVは危ない! 水没したら起こることとは

 台風10号の影響で広範囲にわたって記録的大雨となり、各地で冠水の被害が出ている。そうなると普通のクルマはどのくらいの水深まで走れるのか気になるところだろう。特にモーターを積んだハイブリッド車や電気自動車などの場合はどうなのか、モータージャーナリストの国沢光宏氏が解説する。

※本企画は2023年8月16日に公開した記事を再掲載したものです。

文/国沢光宏、写真/ベストカー編集部、トヨタ、Adobes tock(トビラ画像:写真AC)

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大雨の被害が続出する今こそ対策したい!

もはや道路が冠水してしまうことも不思議ではなくなっている(真人 上野@AdobeStock)
もはや道路が冠水してしまうことも不思議ではなくなっている(真人 上野@AdobeStock)

 大雨による洪水が多発している。水没したクルマも全国規模で増えているようだ。クルマは構造上、水没しても火災が発生しないようにできている。実際、水没直後のクルマなら燃えない。しかし、時間の経過とともに燃える可能性が高くなってくるから注意していただききたい。

 燃える原因だけれど、基本的に12Vのバッテリーからの漏電。12Vのバッテリー、水没直後はキチンと稼働する。水没したクルマのハザードランプが点滅していたり、ヘッドライトが点いていたりするシーンを見たこともあるだろう。

 参考までに書いておくと、水没直後なら水圧が掛かっていなければ(窓ガラスまで水没すると外側から押されて動かない)パワーウィンドウも動く。水に落ちた時、早めにパワーウィンドウを開けておくことでドアの開閉だって可能(欧州車は水没すると自動で窓ガラスが開くようになっている)。

水没から数日後に火災する可能性が出てくる

水没してしまった場合、すべてのクルマに搭載されている12Vバッテリーがそもそも危険となる可能性を秘めている
水没してしまった場合、すべてのクルマに搭載されている12Vバッテリーがそもそも危険となる可能性を秘めている

 火災の危険性が出てくるのは数日経ってから。12Vバッテリー系に繋がっている電気系に泥などの汚れが付いたり腐食したりすると、通電するようになってしまう。

 12Vバッテリーに電力が残っていたら、ショートして高温になって発火する。12Vバッテリー、けっこうな電気エネルギーを蓄えているために車両全体が燃えてしまうことも。特に塩分を含む水だと注意すべき。

  どうしたらいいか? 自分のクルマであればボンネットを開け、ゴム手袋をしたうえでバッテリーのマイナス端子から配線を外し、続いてプラス端子を外す。そしてバッテリーのプラス端子にビニールテープなどを巻いておくこと。

 また、自分の家の近所に知らないクルマが流れ着いていたような時は警察に連絡してナンバーを伝え、安全対策をしてもらうこと。火事は被害を大きくする。

  高電圧バッテリーを搭載しているハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、電気自動車はどうか? 水没直後についていえば感電や火災の心配はなし。大きな衝撃を受けて高電圧バッテリーがショートしたら、瞬時に高精度ブレーカーが稼働してシャットダウン。

 今までたくさんのハイブリッドカーが水没しているけれど、一度も感電や火災の報告はなし。津波にのまれたプリウスだって燃えていない。

バッテリー内部まで浸水し、時間の経過とともにショート?

初代アウトランダーPHEVをドライブする筆者。PHEVやEVがもし水没した場合は早めに対処する必要あり
初代アウトランダーPHEVをドライブする筆者。PHEVやEVがもし水没した場合は早めに対処する必要あり

 ただ、数日経つと火災の危険性が出てくる。今まで1件ながら屋根まで水没したリーフが自然発火しているケースがあった。困ったことに火災から1年経つのに原因などが公表されていない。

 関係筋に聞くと「バッテリー内部に水が入ったため、時間が経って腐食などしてショートしたと思われます」。

 そのほか、初代アウトランダーPHEVが6m沈み、すぐ引き上げたら直後にリウチウム電池から火が出て全焼したという事案もある。

 漏電じゃなく(したがって感電の心配はない)、リチウム電池内部に海水が入ってショートしたという。水没したPHVや電気自動車は、早めに安全対応すべきかと。

クルマの保管場所をハザードマップで確認すべし!

筆者はまず、自分のクルマをふだん駐車している場所のハザードマップを調べることを推奨している(sunftaka77@AdobeStock)
筆者はまず、自分のクルマをふだん駐車している場所のハザードマップを調べることを推奨している(sunftaka77@AdobeStock)

道路防災情報WEBマップ

 水没を防ぐにはどうしたらいいか? すぐハザードマップをチェックし、クルマを置いてある場所が冠水の危険性のある場所か確認していただきたい。30cm以上冠水する地域なら天気予報次第で高台に移動させておくこと。

 30cm以上の水深だと(大雑把な目安でドアの切りかきまで。最低地上高のあるSUVだと40cm程度)、全損になることもある。水没車ってトラブルのスーパーマーケットになるから怖い。

 水溜まりを走るようなことになったら、ドア切りかきまでの水深が限度。波を立てない速度で走る。悪路をキチンと考えているSUVなら、けっこうな水深まで生き延びる。ランクル300なんか70cmまでOK! 電気自動車も車内に水が入ってこないようなら走れてしまう。

 基準としては歩道まで水没していたら諦めること。アンダーパスに突っ込む人はベストカーWebの読者にはいないと思う。

 最悪、水没してしまったら、水深をチェック。エンジンまでの水没であれば、プラグを外してセルモーターを回す。シリンダー内部に水が入った状態でエンジンがかかると100%壊れる。エンジンがかかったら真水で洗う。1年経ってトラブルが出てこなければラッキーだ。

 一般的に車内まで水が入ったクルマは全損扱いとなる。査定も出ない。事故車専門の業者に買い取ってもらうこと。

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