昨今は、シエンタやフリードといった、小さなボディにしっかりと3列シートを積み込むコンパクトミニバンが人気だ。どうしても大きくなりがちなミニバンで、抜群の取り回しの良さを実現している。時代を遡ると、小さなミニバンはまだまだあった。中でもカプセルミニバンとも言えるほど小さかった、スパーキーを紹介していこう。
文/佐々木 亘:写真/トヨタ ほか
■珍しく本家よりも売れなかったスパーキー
スパーキーは、現在のルーミーやライズと同じ、ダイハツブランドのOEM車だ。本家ダイハツでは、アトレー7(セブン)として販売されている。
特徴的だったのが、その販売台数。トヨタ×ダイハツで製造されるクルマは、概ねトヨタバッジをつけた方が販売台数は多い(軽自動車を除く)わけだが、スパーキーに関しては、この法則が通用しなかった。
販売価格が約16万円高かったスパーキーは、アトレー7よりも売れず、少々不名誉な歴史を作ってしまうこととなる。
それでも今振り返れば、16万円アップ分の質感の良さがあったスパーキー。2000年の登場だが、当時しては結構画期的な装備をまとったクルマなのだ。
【画像ギャラリー】懐かしのカプセルミニバン・トヨタ スパーキーとJMS2023に出展されたトヨタ「KAYOIBAKO(カヨイバコ)」(24枚)画像ギャラリー■最小の7人乗りミニバン
スパーキーの良さは、圧倒的に小さいこと、視界が良いこと、気遣いができることだろう。
まずは圧倒的な小ささ。ボディサイズは全長3,765mm×全幅1,515mm×全高1,895mmだ。現行型ヤリスのボディサイズが全長3,950×全幅1,695mm×全高1,495mmであり、ヤリスよりも小さいボディにシートが3列入っているのだから、いかに凄いパッケージングかが、お分かりいただけるだろう。
小さいからこそ生み出せるのが小回り力。最小回転半径は驚きの4.4mである。これなら車庫入れから縦列駐車まで、思いのままだ。シート着座位置が高く、ウィンドウエリアも広いため、全方位で良好な視界を確保できるのもありがたい。
車室内は一見すると簡素化されているように見えるが、サードシートを除く各席にアームレストがあり、ドアは両側スライドドアだ。助手席側にはイージークローザーまで付いている。
さらにセカンドシートは480mmのロングスライドを備え、上級グレードのサードシートを倒すと、フラットな荷室が現れる。セカンドシートを倒した時の段差も目立ちにくく、ラゲッジ容量は最大1,946Lという広さだ。
パッケージ効率という面では、スパーキーの右に出るものはいないかもしれない。チープに見える内装だが、欲しいところに欲しいものが揃っていて、考えられた内装なのである。
【画像ギャラリー】懐かしのカプセルミニバン・トヨタ スパーキーとJMS2023に出展されたトヨタ「KAYOIBAKO(カヨイバコ)」(24枚)画像ギャラリー■キャブオーバーの7人乗りが復活しても面白い
2BOXではなく、今でいえばタウンエースバンのような感じの1BOXキャブオーバーで、小さな7人乗りが登場すれば、以前とは違った人気を集めそうな予感がする。
3列目はほとんど格納したままで、基本は4人乗り。荷物がたくさん積めて、無骨に遊び倒せるようなギア感を加えてあげれば、ミニバンとSUVのクロスオーバー的な立ち位置になり、面白い存在になりそうだ。
小さいことにこだわり続ける、そんなミニバンがあってもいいと思う。かつてのスパーキーのように、飾らないクルマでとっても安い(2000年当時の車両価格は140万円~186万円)ことは、現代における大きなアドバンテージになる。
2023年のジャパンモビリティショーで登場したKAYOIBAKO(カヨイバコ)が、乗用タイプになりスパーキーの復活を予感させるものになってほしい。
【画像ギャラリー】懐かしのカプセルミニバン・トヨタ スパーキーとJMS2023に出展されたトヨタ「KAYOIBAKO(カヨイバコ)」(24枚)画像ギャラリー 【画像ギャラリー】懐かしのカプセルミニバン・トヨタ スパーキーとJMS2023に出展されたトヨタ「KAYOIBAKO(カヨイバコ)」(24枚)画像ギャラリー
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