GMとホンダが共同で開発した自動運転専用車両「クルーズ・オリジン」が事実上凍結された。「日本での自動運転タクシーサービスを2026年初頭に開始予定」ということが2023年秋にアナウンスされていたが、当然ながらこの話もご破算となるだろう。一体何故こんなことになってしまったのか?
※本稿は2024年8月のものです
文:国沢光宏/写真:ホンダ
初出:『ベストカー』2024年9月10日号
■『クルーズ』開発規模を大幅削減! ホンダ×GMはどうなる?
GMは自動運転の実証試験を行う『クルーズ』の開発規模の大幅削減を行うと決めたという。具体的には自動運転タクシー車両『オリジン』の開発を凍結するということだ。
このニュースに接し「驚いた!」というより「やっぱり!」という気持ちのほうが強い。ちなみにホンダはGMと組みオリジンで自動運転の開発をしていたけれど、当然ながら終了ということになるだろう。
なぜ断念か? クルーズはたびたび事故を起こしている。火災現場に走り込みそうになり消防士に窓ガラスをたたき割られて停車させられたり、コンクリート打ち立ての工事現場に進入して動けなくなったり。
加えて何度も書いてきているとおり、自動運転車は悪意のある行為への対抗手段を確保することができない。例えば、前に立たれてガラス割られて誘拐されたらオシマイです。
急ブレーキや幅寄せといった意地悪運転も、有人だと大げんかになる。しかもアメリカは拳銃持ってる人だって少なからずいるため、危険な幅寄せなど繰り返したら撃たれちゃう。自動運転車ならイタズラし放題だ。
さまざまなリスクを考えた結果、自動運転は難しいと判断したのだろう。今まで何回も「無理でしょ!」と言ってきたのだけれど、そのとおりになった。アメリカじゃ無理です。
そんななか、中国は自動運転技術をドンドン進めている。ここにきて無人走行のタクシーやトヨタのeパレットにそっくりのミニバスまで実用化され始めた。
YouTubeなどで「中国 無人タクシー」などと検索すれば、たくさんヒットする。動画を見ると、無人で自動運転しているから驚く! タクシーのドライバーたちが「仕事がなくなる!」ということで、ストを始めたほど。
中国はイタズラ対策をどうやっているのか? 調べてみたら街中に監視カメラをビッシリと付けることにより犯人を探せるのだという。必ず捕まる。
どんな罰則なのか調べきれなかったけれど、相当厳しいようだ。捕まるとなれば誰もイタズラはしなくなるだろう。迷惑な輩さえ排除できるのなら、自動運転だって可能性が出てきます。
日本はどうか? アメリカほどじゃないだろうけれど、イタズラする輩は出てくるに違いない。監視カメラはなく捕まえられず。
そんなことから政府は監視しやすい高速道路から始めようとしているようだけれど、私は悪いやつが少ない過疎地の高齢者の移動手段からスタートすべきだと思う。国交省、木を見て森を見ずの人ばかり。官僚の皆さん木を分析する能力は素晴らしいんですけどね!
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