2024年8月に無人運転タクシーを公開予定だったテスラが、公開を10月に延期した。ここのところ勢いに翳りが見えているテスラを出し抜こうと、虎視眈々と機会をうかがっているのがアマゾン。テスラvsアマゾン、マスクvsベゾスの戦いの行方は!?
※本稿は2024年8月のものです
文:角田伸幸/写真:ベストカー編集部、テスラ ほか
初出:『ベストカー』2024年9月10日号
■テスラ抜き去りの機会をうかがうアマゾン
2024年8月8日にロボタクシー(無人運転タクシー)を公開予定だったテスラが、発表を10月に延期した。
同社は4月に、期待を集めていた2万5000ドルEV(通称モデル2)の開発も断念したばかり。7月末に発表された決算でも、2四半期連続の減益が明らかとなり、力強さに欠ける状況が続いている。
しかしビジネスは生き馬の目を抜く世界。テスラの不振を見て、「テスラを出し抜いてしまおう」という企業が現われた。ITの巨人アマゾンだ。
実はアマゾンは、2020年にZOOX(ズークス)という自動運転ベンチャーを買収している。どうやらそのズークスが、近くネバダ州ラスベガスで自動運転タクシーの一般営業を開始するらしいのだ。
仮にこのサービスが10月までに始まるとすれば、ズークスはテスラの前評判をひっくり返し、ウェイモ、GMクルーズに次ぐ、3番目のロボタクシー事業者ということになる。
ズークスが営業に使う車両だが、惜しくも開発が中止されてしまったクルーズのオリジンに似ている。運転席のないゴンドラのような4人乗りで、高度な4輪操舵や音とライトを使った車外とのコミュニケーション機能も備える。
もちろん走行は電動だが、バッテリーは133kWと超強力。これは航続距離のためもあるが、センサーの駆動やサーバとの通信、演算処理といったバックエンドのための電力も加味したためだろう。
いっぽうテスラも、ロボタクシーを諦めたわけではない。同社の自動運転は生成AIをフル活用しているといわれ、その出来栄えが注目されている。どんな車両になるのかも含め、こちらはこちらで楽しみだ。
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