■大きく改善されたBMWの後席乗降性
前席の乗降性は5シリーズのほうが足の通過性に優れます。Eクラスはサイドシルがやや厚く張り出しているため、少し「よっこらしょ」となります。
サイドシルが張り出しているのは、床下を流れる風を車体側面に吹き出さないためのスカート形状のためでもあるので、ある程度はやむを得ないところです。5シリーズもシルは太いのですが、床面との段差が浅めで、足の通過性は悪くありません。
Eクラスの後席ドアは従来と比べてずいぶんと後方にずれましたね。BMWは以前から極端なキャビンバックで、それがアイデンティティでもあるのですが、EクラスはBMWほどではないものの、ややキャビンバックのプロポーションとしてきました。
そのため、後席ドアの開口部は足元が狭く、乗降性は前型より劣ります。全体的にベンツの「おもてなし」感は少し稀薄になりました。
今回の5シリーズの後席の乗降性はよくなりました。乗降時に背中が当たる後席背もたれ端部の形状なども、Eクラスより5シリーズは段差がなく、スッと背中を滑らせて乗り降りできます。座面端の着座に関係がない部分を斜めに切り落とした形状も乗降時のお尻の引っかかりを防ぎ、スムーズです。
ただし、いつものリアドア後端、窓部分が後方に長く飛び出す形状はいただけません。特にドアを開けて乗り込む際、身体をいったん引かないと当たります。
後席に座ると、クッションストロークがしっかりとあるため身体がスッと沈み込んで包まれます。また、表皮が滑りにくいので、力を抜いて体を預けられます。
サイドシルと床面の高さ(深さ)も、Eクラスでは、跨ぐような姿勢での乗り降りになります。
【画像ギャラリー】高い完成度で1000万円以下の衝撃! BMWとベンツの渾身のセダン車を是非(20枚)画像ギャラリー■BMW523dの走行フィール
さて、いつものようにゆっくりと歩くほどの速度でハンドルを大きく、ゆっくりと左右に切ります。切り始めからスッと反応し、操舵量に対する反応はリニアです。左右の反応差はまったくありません。車体剛性やサスペンション取り付け部の剛性、ステアリング機構の剛性や遊びがしっかりと管理されています。
これはBMWのどのクルマに乗っても同じ感覚です。FRだけではなくFFの1シリーズや2シリーズでも同じ基準で仕上げらているのです。低速域から速度を上げていっても、この感覚は一定で変わりません。
40〜50km/hで走ると、ロードノイズはほとんど感じません。タイヤのよさもありますが、足が路面の微小な凹凸を減衰力を効かせながらいなしています。0.03m/sec付近の減衰は抜いているのですが、0.08m/sec付近では減衰を立ち上げて動きを抑えています。いやなブルブル振動が残りません。硬めの乗り味に感じますが、突き上げがないのでスッキリとした乗り味なのです。
コーナリングでは、以前のBMW車はフロントがソフトに動いて、リアでガッチリ抑え込む動きでしたが、この5シリーズはフロントをしっかりと抑え込んで、リアの追従性でバランスを取る、今までと違うセットです。前後の動きに位相遅れがなく、安心感がある操縦性です。
2Lディーゼルターボは2500rpmまではいいのですが、それ以上回してもトルクが頭打ち。もうちょっと上まで、ドンと押し出すトルクレスポンスが欲しいです。
ブレーキは若干フロント寄りです。もう少し後輪の接地を活かす制動配分だと姿勢がより安定します。
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