■両者ともに最新のサスジオメトリー設計
エンジンフードを開けて車体構造を見ます。Eクラスも5シリーズも、サスアッパーが大きく内側に倒れ込んだ位置にあります。また、ホイールセンターに対し後方にオフセットしています。8度程度のキャスター角が大きなサスジオメトリーです。
転舵をすると両車ともに操舵量に比例してネガティブキャンバーが増大していきますが、最大転舵ではEクラスのほうがキャンバー角は増加しています。Eクラスのほうがロール量が大きいためで、その分キャンバー角度を付けてタイヤの接地面を均一に保っているのです。
またこれも両車に共通の構造で、ボックス構造とした頑強なフロントクロスメンバーとサスアッパーをつなぐ補強プレートが入っています。スモールオフセットなど厳しくなる前面衝突に対応させた車体構造です。
従来からの40%オフセットだけでなく、より厳しい25%オフセット衝突や後席乗員規定追加などへの対応と思われます。
エンジンの搭載位置は両車の考え方の違いが明確に現われています。ホイールセンターに対し、Eクラスのほうが5cm程度前方にエンジンが搭載されています。
5シリーズは徹底してフロントミドシップにしています。エンジン先端がホイールセンター軸よりも後方に位置しています。BMWは直列6気筒も搭載するため、4気筒だと完全なフロントミドシップになります。
前後重量配分的にはBMWのレイアウトが優れますが、縦置きエンジン+トランスミッションを後方に配置することは、大きなトランスミッションがキャビンスペースに入り込むことになります。運転席を見ると、5シリーズのほうがフロアトンネルは大きく、前席の足元空間に張り出しています。
【画像ギャラリー】高い完成度で1000万円以下の衝撃! BMWとベンツの渾身のセダン車を是非(20枚)画像ギャラリー■インテリアは両社の考え方の違いが明確化
それにしてもEクラスのインパネは強烈です。全面液晶パネルで覆われています。助手席側にも液晶パネルが配置され、カーナビ画面はもちろんですが、動画を映すこともできます。
はたしてここまで必要なのでしょうか? 先進性をアピールしたいEVならこれもありとは思いますが、正統派のラグジュアリーサルーンであれば、もっと人の感性や操作性に寄り添った、安心感を感じるインパネや空間がよいと思います。なにやら情報化社会に追い立てられているような落ち着かない室内です。
対照的に5シリーズのインパネは本革表皮を主張させたソフトパッドです。メーターパネルはセンターモニターと連続させた液晶ですが、表示部分を過度に大きくせず、上質感と豊かさを主体にした演出のインパネです。どちらが正解だということではありませんが、私は5シリーズのインパネのほうが落ち着きます。
とはいえEクラスは運転席に座ると、ドライバーが運転中に必要とする速度計やタコメータなどの情報が、ステアリング後方に配置された独立した液晶パネルに集中的に表示されるので、これはとても見やすいですし、運転者の集中力を邪魔しません。
一方でその他、ナビ表示やIT関連はセンターから助手席前面にかけた大型パネルを使うように、完全に「運転用」と「その他用」で液晶パネルを切り分けています。このパネルは面積が大きいのですが、前面パネルが完璧にマット処理されていないため反射して、走行中も少しうっとうしさを感じます。
また、タッチパネルの操作による、指の跡(指紋)が汚らしく見えてしまいます。表面は無反射のマット処理にしてほしいです。
シートはいかにもベンツのシートで、座面や背もたれの形状は窮屈さを感じさせませんが、しっかりと腰やお尻をホールドします。表皮もキルティング加工をしているため、着座すると体重で伸びて包み込むように身体にフィットします。
ドラポジもベンツ各車に共通して、適正でペダル配置も自然に足を伸ばした位置にABペダルがあります。フロアトンネルが小さいため、左側の足元空間に余裕があります。
5シリーズもシートに不満はありません。表皮は体重でほどよく伸びて身体にフィットします。座面先端が伸びる構造なのは腿裏のホールドを調整できて嬉しいのですが、電動にしてほしかったです。
ペダルは全体的にやや右側にオフセットしています。フロアトンネルが大きく張り出している影響ですが、スッと右足を下ろした位置にブレーキペダルがあるので、アクセルペダルは意識して足を右にずらさないと踏めません。踏み間違い防止にはよいペダル配置です。
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