2017年9月に発売したホンダの現行第2世代N-BOXは、この2019年9月末まで25ケ月連続で軽自動車&四輪総合トップセールのポジションを堅持している。軽自動車ではその後、同カテゴリーのライバル車であるスズキスペーシアが2017年12月、ダイハツタントが2019年7月にフルモデルチェンジし、追撃しているが、依然N-BOXを超えることができていない。
この王者N-BOXの販売は盤石なのか? ライバルにチャンスはないのか? そしてこの「強さ」の要因は?? 毎月200店舗のディーラーを回って販売現場の「生」の情報を届けてくれる、遠藤徹氏に調査してもらった。
文:遠藤徹 写真:ホンダ
【画像ギャラリー】強すぎる王者ホンダ N-BOXと強力なライバルたち
■最大のライバルが2019年7月に新型へ
ホンダN-BOXの「強さ」の要因として、首都圏にあるホンダカーズ店の営業担当者は、
「それはやはり商品としての力でしょう。現行型N-BOXは新開発のプラットフォームを採用し、軽自動車らしくないクオリティの高さ、安全性、走行性、居住性、使い勝手のすべてにおいてトップレベルの商品性の高さが幅広いユーザーに認められているためだといえます。」
と胸を張る。
販売台数で圧倒的な強さを見せ続けるホンダN-BOXではあるが、つい最近になってそれを脅かすような要素もあった。2019年7月9日にフルモデルチェンジを実施したダイハツ新型タントが、高い人気で急激な追い上げを見せたからだ。
N-BOXはタントを(7月までは)約1万台引き離していた。しかし、2019年8月の販売台数はN-BOXが1万8282台、前年同月比17.9%増と依然好調なものの、タントは1万6838台、同73.3%増と急増して、わずか1444台差と急迫したのである。
この状況、N-BOXにとっては事情がある。ホンダはN-BOXを、10月3日の発表、4日の発売で一部改良を実施した。このため全国のホンダディーラーでは9月にN-BOXをいったんオーダーストップとして、従来モデルは在庫一掃セールに入った。改良モデルの事前受注活動も実施しているが、このぶんの販売は10月5日以降となる。したがって9月はタマ不足で伸び悩み状態になっていた。
■決戦は9月、逆転なるか…と注目が集まったが…
いっぽうタントは好調な販売で多数のバックオーダーを抱え、増産体制を敷いてN-BOXを猛追。「いよいよ9月は王者交代か」と注目が集まったが、数字が締まってみると、N-BOXの横綱相撲となっていた。
N-BOXの今回の改良内容は衝突軽減ブレーキの検知対象拡大やリヤワイドカメラの商品性向上によって安心・安全性能をさらに強化。加えて運転席、助手席シートヒーターなどの適用を拡大し、快適性を拡大している。具体的には衝突軽減ブレーキは横断自転車15km/hに対して自車速度30~40km/hで衝突回避、夜間街燈無しの環境で横断歩行者5km/hに対し自車速度30~50km/hで衝突を回避する。
リアワイドカメラは従来の30万画素から100万画素とより鮮明に改善。
7月18日にはハイトワゴンのN-WGNをフルモデルチェンジしており、こちらと連携した営業活動の促進によってさらなる攻勢をかける構えである。そしてN-BOXを「ファミリーBOXベスト」、N-WGNを「パーソナルベスト」としてアピールして行く。
こうなると当面、N-BOXの優位は動かず、2019年のトップセラー車獲得はもちろん、今後数年は王者として君臨し続けることがほぼ確定したといえる。
今後N-BOXの王座を脅かすモデルが出てくるとしたら、それは現在、販売市場のトップカテゴリーを形成している「スーパーハイト軽ワゴン」と呼ばれるカテゴリー(N-BOX、タント、スペーシア)自体が廃れて、流行が別カテゴリーに移った時だろう。
なお現行N-BOXは約1年後の2020年9月頃に発売後3年が経過するので、ビッグマイナーチェンジを実施するはず。ここでは内外装の大幅なデザイン変更、追加グレードの設定、カラーリングの再編、安全対策のさらなる強化は図られる。
グレード構成ではSUVテイストの新シリーズの設定も行われる可能性がある。これによってさらに増販攻勢をかける構えである。
コメント
コメントの使い方