アルヴェルにどこまで迫った? 乗り比べて分かった中国製ミニバンの意外なマルとバツ!!

VOYAHドリーマーはワイド&ロー感がエルグランド風

VOYAHドリーマーの全長は5.3m超。全幅も2m近いが全高が約1.8mと低く、ロー&ワイド感がある
VOYAHドリーマーの全長は5.3m超。全幅も2m近いが全高が約1.8mと低く、ロー&ワイド感がある

 続いて乗ったのは、Dongfeng(東風汽車)のハイエンドブランドVOYAH(ヴォヤー)のミニバン「ドリーマー」だ。エクステリアは他のミニバンと比べるとワイド&ロー感があるプロポーションで、日産エルグランドに雰囲気が似ているような。

 インパネからドアまで連続的なデザインなのはD9と似ているが、メーター~センターディスプレイ~助手席ディスプレイがズラーっと並ぶ感じは中国車の真骨頂といった感じ。

 ただ、素材の質感や精度に関してはちょっと粗さがあるかなと。2列目はキャプテンシート仕様で、シートスライドが手動など先進性はD9に劣るものの、シートは大きめかつクッション/シートバックも厚く、掛け心地はアルヴェルほどではないものの、エルグランドといい勝負をする感じだ。

 シートにはコントローラーは内蔵されておらず、シート側面にシートヒーター/シート空調/マッサージ機能のスイッチのみ。各種コントロールはルーフに装着される収納式モニターで行なう。タッチパネルでわかりやすいが、座っていると手が届きにくく走行中の操作はなかなか難しい……。

総合力では日本車の完成度の高さに軍配

いずれアルヴェルを追い越すミニバンが中国でも誕生するだろうか?
いずれアルヴェルを追い越すミニバンが中国でも誕生するだろうか?

 パワートレインはEVとPHEVが選択可能だが、今回乗ったのは1.5Lターボエンジンとモーター、バッテリーで構成されるPHEV。こちらも乗っている時に一度もエンジンは始動しなかったが、動力性能はD9よりも確実に高く、フル乗車時でも加速の鋭さや余裕は後席でも解る。ただ、レスポンスが鋭すぎなのかアクセルコントロールは難しそうな感じ。

 プラットフォームはESSA(エレクトリック・スマート・セキュア・アーキテクチャ)プラットフォームを採用とあるが、同社のセダン系と同じとのこと。後席で感じた乗り味は、ボディ剛性はD9よりも骨太な印象。全幅約2mを活かしたワイドトレッドとミニバンにしては低めの全高1.82mも相まって、コーナリング時の印象はアルヴェルというよりも日産エルグランドに似た雰囲気だ。

 快適性は街中だと入力の吸収の仕方や足さばきは高級ミニバンとしては粗さが目立ったが、速度が上がるとその印象は薄れて逆にフラット感の高さが印象的だった。そういう意味ではやや高速寄りのセットアップなのかなと。よくいえばスポーティミニバンのような感じだが、見た目とのギャップがないといえば嘘になる。

 そろそろ結論にいこう。どちらのモデルもいろいろいいたいことはあるが、素直に「なかなか、いいじゃない」と感じるインパクトや魅力を持っていることは理解できた。個々の性能や装備、価格の面では強みは間違いなくあるが、クルマとしての“総合力”ではアルヴェル、そしてレクサスLMの完成度の高さを改めて実感したのも事実だ。とはいえ、彼らのベンチマークになっているのは周知の事実。戦いは始まったばかりだが、今後の展開・進展にも注目である。

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