原田哲也がニーゴー4気筒をブン回す! 世界王者のカワサキZX-25Rインプレッション

 250cc並列4気筒エンジンが帰ってきた! 2007年のホンダ・ホーネットとカワサキ・バリオスを最後に市場から消えていた「ニーゴー直4」だが、今年になってカワサキがZX-25Rをリリース。久々の超高回転サウンドに、ライダーたちは大いに色めき立った。

 話題が話題を呼んでバイク市場をヒートアップさせたZX-25Rだが、その真の実力やいかに……!? 元世界グランプリ250cc王者の原田哲也さんによるサーキット激走インプレッションをお届けする!

まとめ/高橋剛、写真/高橋剛、KAWASAKI

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■「250ccはあくまでも250cc」という事実

写真はニンジャZX-25R KRTエディションで、9月10日に91万3000円で発売された。クイックシフターなどの装備がないスタンダードは82万5000円となっている

 250cc並列4気筒エンジンを積んで大きな話題となっている、カワサキZX-25Rに乗らせていただきました。

 僕も16歳の時、街乗りでヤマハFZ250フェーザーに乗っていたことがあるので、興味津々です。フェーザーはヒュンヒュン回るのにちっとも前に進まなかった、という記憶がありますが(笑)、ZX-25Rはどうでしょうか?

 現在、250ccクラスのスポーツバイクは人気のカテゴリーになっています。ホンダ、ヤマハ、そしてスズキが並列2気筒エンジン搭載車をリリースしている中、ZX-25Rはカワサキが久しぶりに投入する並列4気筒エンジンですから、そりゃあ期待値も高まりますよね!

 最初に言っておきたいのは、いくら並列4気筒でもあくまでも250ccだ、ということです。絶対的なスピードが高いわけではありませんし、そもそもスピードを競うようなキャラクターのバイクでもありません。

 ZX-25Rに関しては並列4気筒エンジンに注目が集まっているからか、並列2気筒エンジン搭載車と比較して、「スピードが出るのか、出ないのか」が焦点になっているように思います。

 でも、排気量自体が同じですから、いくらシリンダー数が違ってもそう劇的な差があるわけではありません。パワーやスピードの評価にこだわりすぎない方がいいんじゃないか、と僕は思います。

■怯えずにアクセルが開けられる!

 パワーウォーズとは少し別のところに、並列4気筒エンジンの魅力はあります。回転上昇フィーリングが最高に気持ちいい! それこそフェーザーを思い出させる爽快さで、「回す楽しさ」を感じさせてくれます。1000ccのガチなスーパースポーツでは、恐ろしくてそうそう回し切れませんからね……。

 はっきり言って僕がサーキットで走らせるにしても、1000ccスーパースポーツに対しては身構えますし、怖い。それなりに気合いを入れる必要があります(笑)。

 でも、ZX-25Rなら少なくとも「怖い」と感じることはありません。カッチリとストッパーに当たるまで躊躇なくアクセルを全開にできる感覚は、パワフルなリッタースポーツバイクに比べるととても気軽で、カジュアルに楽しめるバイクだな、と思いました。

 手の内にある“ちょうどいい”感じは、僕のようなレース経験者じゃなくても、多くのライダーの皆さんが得られるものではないでしょうか。これは250ccという排気量の大きなメリットですね。背伸びして扱い切れないバイクを走らせるより、手の内にあって操る喜びを味わえるバイクの方が、結局は楽しめます。

 テスト当日は、K-FACTORYのフルエキゾーストマフラー装着車にも試乗しました。ノーマルはかなり静かで、走らせている時には思っているほどエンジンサウンドが聞こえないんですが、K-FACTORYのフルエキゾーストマフラーではしっかりと耳に届きます。

 JMCA認証品なので音量が極端にノーマルと違うわけではありませんが、いかにも直4らしい甲高い音はとてもエキサイティングで、走らせていて本当に気分がいいですね。

■クラスを超えた上質感が最大の魅力

 車体まわりにも不満はありません。250ccスポーツバイクというカテゴリーからすると、若干動きがまったりしているかな、と思いますが、何しろエンジンのシリンダー数が他の並列2気筒モデルに比べて倍ありますからね。そりゃあ多少重たくもなります。

 スペックを比較しても、同じカワサキでも2気筒のニンジャ250Rに対して、20kg弱重くなっています。でも、街乗りレベルの走りをしている分にはまったく気にならないレベルです。

 試乗したのはグレードが上のSEモデルだったので、クラッチ操作不要でシフトチェンジ可能なクイックシフターが標準装備されていました(※註:STDではオプション)。このクイックシフターの出来もいいですね。シフトアップ/ダウンとも節度感のある作動です。

 ZX-25Rは低回転域のトルクはやはり並列2気筒よりどうしても細いので、「ギアを変えずに走り切る」といったズボラな走りはあまり向いていません。頻繁にシフトアップ/ダウンを繰り返すことになるので、クイックシフターの装着はありがたいですね。

 「パワーウォーズとは別のところにあるZX-25Rの魅力」は、まだあります。それは上質さ。エンジンフィーリングの滑らかさは、ただ気持ちいいだけではなく、クラスを超えた「いい乗り物」に乗っている感じを味わわせてくれます。

 これはエンジンだけの話ではありません。600ccクラスのZX-6Rとほぼ同じ車体寸法というゆとりのある車格やハンドルまわりの凝縮感など、ZX-25Rは所有感を満たしてくれるバイクに仕上がっています。

 250ccクラスに見受けられがちな「これぐらいでいいんじゃない?」という妥協は、ZX-25Rからはほとんど感じられません。実際、ASEAN諸国では250ccはスーパースポーツクラス。

 ZX-25Rはフラッグシップモデルにあたりますから、エンジンチョイスも含め、やるだけやるのも当然かもしれません。カワサキの本気は、しっかりと感じられました。

 ただ、ちょっと価格は高いかな……(STD・82万5000円〜SE/KRTエディション・91万3000円)。パッケージの内容と時代を考慮すれば企業努力は感じますが、いかんせん高い。この価格帯だと、600cc前後のミドルクラスも十分に視野に入ってきますからね……。

 とは言っても、僕自身はいろんな選択肢があることはいいことだと思っています。並列2気筒エンジンのニンジャ250でカテゴリーを牽引してきたカワサキが、今度は並列4気筒で話題を振りまき、再び250ccクラスに旋風を巻き起こしたことは、本当に価値があること。

 他メーカーも追随……なんていうのは、夢物語でしょうかね……。

ZX-25Rに原田哲也が緊急試乗! 1万7000rpmの咆哮を聞け!!(リンク先)

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