ラグジュアリーSUVの世界はまさに百花繚乱。ロールスロイスカリナンをはじめ、ベントレーベンテイガ、ランボルギーニウルス、マセラティレヴァンテ、アルファロメオステルヴィオなど、怒涛のデビューラッシュが続いている。
そんななか2019年11月20日に世界初公開となった、アストンマーティン初のSUV、DBX。発表された日本での販売価格は2299万5000円。2020年7月に量産第1号車がラインオフし、日本にもようやく上陸した。
英国の老舗スポーツカーメーカー、アストンマーティンが世に送り出したラグジュアリーSUVは、これまでのSUVとは違う、いかなる魅力を持ち合わせているのか、モータージャーナリストの飯田裕子氏が解説する。
文/飯田裕子
写真/アストンマーティンジャパン
初出/ベストカー2020年11月10日号
【画像ギャラリー】英国製SUVスポーツカー アストンマーティンらしさ溢れるDBXの魅力を写真でチェック!
ひと目でアストンマーティンとわかる顔つき
スポーツカーを送り出してきた107年の歴史を持つアストンマーティン初のSUVは、他ブランドにない新しさや個性を持つだけでなく、最新のアストンマーティンらしさが凝縮されている。
新開発のプラットフォーム、最新の素材を全身のそこかしこに採用し、4WDという新しい駆動力を得て、48Vエレクトリック・アンチロールコントロールシステム、エレクトリックダンパーを採用。
これまでサーキットからグランドツーリングまで得意としてきたアストンマーティンがラフロードまで走破可能なモデルを世に送り出したのだ。
少々採用の遅れていたADAS機能(先進運転支援システム)も軒並み搭載。加えて、大人4人が快適に移動できる貴重なモデルでもある。
エクステリアの特徴はDBグリルとスカラベがモチーフのスピードを象徴するウイングバッヂとともに、ひと目でアストンマーティンとわかる顔つきだ。
またヴァンテージといったスポーツカーからインスピレーションを得たフリップ付きテールゲートなど、ほかにはない同ブランドのスポーティなSUVらしさを表わしている。
ボディサイドの彫刻的な陰影を生む”くびれ”はショルダーラインから下のスマートマッスルぶりを作り出し、頼もしさとセクシーさを感じさせてくれる。
一方、自然の素材を多く採用するインテリアはレザーやウッド、ファブリックさえも贅沢に使われている。凝った造形が施されているのに自己顕示欲が控えめで上品だ。
また、さまざまな装備が大ぶりで操作性がいい。デザイン的には大味になりがちなのだが、アストンマーティンのデザイナーとクラフトマンシップの手にかかれば、贅沢に造り込まれた素晴らしい空間に。
シーツのように薄いアルカンターラのサンシェードが静かに開閉する時間やウールマーク認証されるフェルトのようなドアトリム素材の感触、それと滑らかに仕上げられたウッドパネルの組み合わせにウットリしてしまったのは、筆者が女性だからかしら……。
後席は足元のスペースも十二分に保たれ、座ると柔らかく沈み込む座面のサポートも心地よい。
DBXは前後席にシートヒーターのみならずベンチレーションも装備されている。アストンマーティンにとって、大人4人が快適に移動できるモデルとしても存在意義は大きい。
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