86、BRZ、ロードスターをプロ目線で見る「違い」とは? FRの真髄に迫る

86 GRとは対照的なBRZ STIスポーツ

ああ
スバル BRZ STIスポーツ/全長×全幅×全高:4240×1775×1320mm、車重:1250kg、最高出力/最大トルク:207ps/21.6kgm、価格:353万1600円

 86 GRとはずいぶんと異なるキャラクター。GRで感じた“しっとり感”はない。GRはベースの86とはまったくの別物になっていたけれど、こちらはあくまでもベースのBRZの延長線上のフィーリング。

 車の動きは上下に対しても左右に対してもレスポンスがよく、よく動く印象。ドライバーの操作に対し敏感に反応するので小気味よさを感じる人もいるだろう。

 ブレーキの効きもタッチも両車対照的。86 GRのほうが効きもタッチもレーシングカーのようにシャープで強力。

 BRZ STIスポーツは、ストリートユースをターゲットとしたチューニングで、パッドのミューの立ち上がりが緩やかでペダルを踏み込んだ奥で効きをコントロールするイメージ。強く踏み込んでもロックしにくいブレーキで誰が乗っても制動力コントロールのしやすさを味わえる。

 86 GRはペダルに足を載せた瞬間からググッと制動力が立ち上がり、効きのピークが早い段階で発揮されるので、より追い込んだ走りをするには向いているが、ちょっと制動力コントロールには慣れが必要。

 BRZが踏み込みながら制動力をコントロールするのに対し、86 GRはペダル踏力を抜きながら効きをコントロールするイメージ。

 両車対照的で興味深いところ。ドライバーの好みによって、これはどちらがいいというのではなく『味付け』の領域だ。

ロードスターは「派手さはないが真面目に作りこまれている」

ああ
マツダ ロードスター RS/全長×全幅×全高:3915×1735×1235mm、車重:1020kg、最高出力/最大トルク:131ps/15.3kgm、価格:320万7600円

 先の2台とはまったく違った個性のFRスポーツで、ロードスターにはロードスターの「味わい」がある。

 初代NA型から30年近く経ち、今回のND型で4代目となったが、一貫して基本的な車の動き、操縦性などを変えていないところが大きな魅力。

 特別なことをすることなく、限定販売のスポーティ度を高めたモデルなどの投入頻度はかなり少なく、ベースモデルで勝負しているのもロードスターらしさ。細かく車を進化させて完成度を高めていくところなどはポルシェに通じるフィロソフィを感じる。

 ブレーキは86 GRやBRZ STIに比べるとローターも小さくキャリパーも小さいため容量自体は小さいのだが、パッドの面圧が高く、ペダルフィールへのフィードバックが大きく、ブレーキの状況をドライバーがつかみ取りやすい。

 車全体のフィーリングは、86 GRが大型客船のようなイメージで、ちょっとした波などはモノともせずに安定して突き進んでいくのに対し、BRZ STIは中型船。

 小波の動きもドライバーに伝えて走らせている実感がある。ロードスターは波の手前……さざ波にもならない水面の小さな動きを捉えてその動きをドライバーに感じさせながら走るイメージ。

 落ち着きがないと感じる人もいるかもしれないが、フィードバック性が高く、車の動きが手に取るようにわかり、思ったとおりに車を動かすことができるので、これは大きな魅力。

 エンジンは1.5Lでパワーはそこそこなのだが、軽い車体なのでパフォーマンスは充分。5000回転で頭打ちになりそうな気配はあるのだが、実際にはそこから7000回転あたりまでシューンと気持ちよく伸びてくれる。

 操安性は、例えばロール自体は大きいのだがロールセンターがいい位置にあり、アウト側もイン側もタイヤの接地変化が起こらないため、とても安定していてコントロール性はバツグン。派手さはないけれど、とても真面目に作り込まれたスポーツカーだ。

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