日野自動車がさきごろ発表した小型トラック、積載量1.5tクラスの「日野デュトロ」は、専用の低床シャシーに排気量2.8Lのディーゼルエンジンと5段マニュアル/6段トルクコンバータ式オートマチックギアボックスを搭載し、2t積み系デュトロと共用のキャブを組み合わせたもの。
同車の車両総重量(GVW)は3.5t超となり、新普通免許では運転できない。日野がここにきて同クラスの小型トラックを販売する狙いは? 試乗記と併せて多賀まりお氏が解説する。
文/多賀まりお 写真/フルロード編集部
【画像ギャラリー】価格もサイズも集配用にちょうどいい!? 日野デュトロ1.5tクラスを試す(14枚)画像ギャラリー日野デュトロ1.5tクラスの生い立ち
7月26日に発表された日野デュトロの積載量1.5tクラスは「トヨタ・ダイナ1.0tシリーズ」のデュトロ版である。
2t積み系のデュトロとダイナ(および2020年にダイナと車種統合されたトヨエース)は兄弟車として開発され、1.0tシリーズとともに日野自動車の羽村工場が生産を担当している。
同シリーズはこれまでトヨタ向けの専用車種だったが、今般ラインナップの拡充を目的として日野向けにも展開されたものだ。狙いは2t積み系の価格が排ガス規制対応や装備の充実などで上昇する中、顧客の選択肢を増やすことにある。
小型トラックの1.5t積み系と2t積み系は、前者が自家用登録の平ボディ車を中心とするのに対し、後者は運送事業者にも広く使われ、中型車並みの積載量やシャシーサイズも設定。ダンプなどの特装系のニーズもある。
このため2t系に求められる堅牢性や耐久性は、小型商用車の域にある1.5t系とは相応に異なる。
ただし、最近は宅配などの集配用途では、積載比重(荷物の容積に対する重さ)が軽くなって積載量が減り、2t車の代替えで1.5t車が検討されることもあるという。
両者の価格差は100~150万円以上に及ぶだけに、今後1.5t系に合理性を見出すユーザーは増えるかもしれない。
ところで、平成29年の改正道路交通法の施行により普通免許で運転出来る自動車はGVW5.0t/最大積載量3.0t未満からGVW3.5t/最大積載量2.0t未満に変わった。
この改正により現行の2t系小型トラックは(軽い車型でもGVWは4t程度)実質的に新普通免許で運転出来なくなったが、1.5t系も現行車の開発が新制度の発表以前だったこともあり、銘柄を問わず殆どの車型がGVW3.5t未満に収まっていない。
その中でダイナには軽量なガソリンエンジンを搭載して3.5t未満とした1.25t積み車型が存在する。だが、ガソリン車の燃費値はディーゼル車よりも低いため、日野自動車では「企業別平均燃費基準」(CAFE規制)の制約から1.5tにガソリン車型は設定していない。
このため、現状でデュトロの1.5t系は全てGVW3.5t超車である。なお、現行車型を減トン(最大積載量を減らすこと)して3.5t未満で登録する場合にはGVW3.5tを境にカテゴリーが変わる保安基準の要件から、ブレーキ性能の見直しが必要になるという。
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