試乗車のプロフィールは?
さて、今回試乗したのは最量販車種の一つという最大積載量1500kgの2WD、「超低床」タイプのスチールデッキ。ギアボックスは6段AT、艤装グレードは標準的なスタンダード仕様だった。
デュトロ「積載量1.5tクラス」の車体寸法はシングル/ダブルキャブともに4ナンバー小型車枠のフルサイズにあたる全幅1695mm/全長4685mm(スチールデッキの場合)。ホイールベースを含めて2t系の10尺車とほぼ同じだ。
ただし、フレームサイズは独自の寸法を採り、車体重量に合わせた軽量化と低床化をもたらしている。
1.5tクラスのシャシーには高床仕様は用意されず「超低床」と「全低床」の2タイプ。前者は後輪に小径タイヤを履き、積極的に低床化を図ったもの。後者は総輪同サイズの偏平タイヤによって、タイヤ管理の利便性と一定の低床性能を両立させたものだ。
対面したデュトロ1.5t積みの試乗車は超低床仕様のフロント175/75R15、リア145R13というタイヤ外径の小ささもあって空荷でもひときわ低く構えた印象。
床面地上高は比較用に用意してもらった2t積み系全低床車の860mmに対して745mmと115mmも低い(具体的な数値は車型ごとに若干異なる)。キャブに1.5t系を示すエンブレムなどは存在せず、グリルやバンパーも同じ。
ただし2t系が全車に標準装備するLEDヘッドランプは、1.5t系ではハイグレード以外はメーカーオプション。サイドミラーも2面鏡が標準で備わる2t系と異なり、運転席側はコンパクトなサイズ、助手席側のステーも短い仕様となる。
とはいえ適度にワイドな鏡面により、平ボディ架装の試乗車では後方や側方の視界に不安を感じることはなかった。
ミリ波レーダーと単眼カメラによる衝突被害軽減ブレーキ(PCS)や車線逸脱警報、車両安定制御システム(VSC)、低速衝突被害軽減機能付きといった一連の先進安全装備は2t系と共通である。
走りも軽快! 集配にちょうどいい1.5tクラス
1.5t系の中でもキャブ高の低い超低床車への乗降は2t系よりも容易だ。室内はインパネやトリム、シート表皮などは基本的に共通で、車格感は2t系にほど近い。
フロントピラーの角度は、現行のキャブオーバー小型トラックの中では寝ている方だが、断面形状の工夫によって運転席から見る方向では細く見え、死角は小さい。
1.5t系の装備類は2t系よりもシンプル化されている。メータークラスターの液晶が2t系のカラー液晶から単色になり、操作用のステアリングスイッチも省略。排気ブレーキ非装着のためコラム左側レバーはワイパースイッチ専用だ。
いっぽう、6段ATの操作レバーには2t系にはない手動変速操作モードとシーケンシャルスイッチが備わる。これはATユニットの違いによる装備だろう。
エンジンを始動させるとアイドリングの振動騒音が低いのが印象的。Dレンジに入れてブレーキペダルから足を離せばクリープトルクでスムーズに発進する。
1.5t系に搭載されている1GD-FTV型エンジンは排気量2754ccの4気筒。トヨタが2015年に発表した主力ディーゼルで、同機はNOx低減用の後処理装置に尿素SCRを使う。
このためデュトロの1.5t系も尿素SCRシステムを搭載する。2t系のN04C型エンジンは、軽油燃料を還元剤に用いた後処理装置HC-SCRでNOx低減を図っており、現時点ではアドブルー(尿素水溶液)の補充は不要だ。
今回は空荷のため本来の動力性能は不詳だが、試乗中はATの的確な制御とともに落ち着いた回転数の中で望む出力がもたらされ、走りは快適。シーケンシャルスイッチを使いたくなることもなかった。
デュトロ用の出力仕様は最高出力144PS/3400rpm、最大トルク30.6kgm/1200~3200rpmと、トラック用としてはやや高回転型である。積載時は相応に回して使うことになりそうだが、軽快な1.5t系にはちょうど良いのかも知れない。
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