e-POWER専用でどうなった? 待った甲斐あり?? 「全面進化」の新型エクストレイル SUV最激戦区へ殴り込み!!!

■VCターボ×e-4ORCEで圧倒的静粛さ×FR的な楽しさ!

1.5L、直3のVCターボは144ps/25.5kgmをマーク。圧縮比を8〜14まで自在に可変。排気量に換算すると1.5〜2.8Lに相当。それに高出力モーター(204ps/33.7kgm)が組み合わされる
1.5L、直3のVCターボは144ps/25.5kgmをマーク。圧縮比を8〜14まで自在に可変。排気量に換算すると1.5〜2.8Lに相当。それに高出力モーター(204ps/33.7kgm)が組み合わされる

 エクストレイルの第一のトピックはパワートレーンで、1.5LのVC(可変圧縮比)ターボを発電専用とするe-POWER専用車となった

 VCターボ(144ps/25.5kgm)は巡行時も加速時もエンジンの存在をまったく感じさせないくらい圧倒的に静かで、高出力モーター(204ps/33.7kgm)を組み合わせることで、より静かにより力強い走りを実現。

 新型エクストレイルのもうひとつのトピックは、アリアに先駆けて商品化された2モーター4WDのe-4ORCEで、前後モーターと左右ブレーキを統合制御することにより、日常から雪道・オフロードまであらゆる路面で意のままに操れるコントロール性を実現している。

 詳細は後述するが、このe-4ORCEは組み合わされるリアモーターが136ps/19.9kgmとパワーがあるので、後ろから押されているようなFR的な楽しさも特筆レベルだ。

 新型エクストレイルは、FFと4WDのe-4ORCEをラインナップしているが、タフ×高品質というのをより堪能できるのは4WDだ。

■新型の重要な要素たる「高品質」を最も具現化したインテリア

 続いてはインテリア。新型エクストレイルの重要な要素である「高品質」というのが最も具現化されているのがインテリアで、その変貌・進化ぶりには驚かされる。

 インテリアは水平基調ながら抑揚があり高級感満点。ミドルクラスSUVではハリアーがその高級感から人気になっているが、凌駕するレベル。

 シート素材にもこだわり、オプションで高級感満点のナッパレザーが用意されるほか、ソフトレザー並みの感触を持つ人工皮革のテイラーフィットを新開発。

 また4WDの一部モデルに3列シートを設定して多人数乗車に対応。

エクストレイル史上最も高級なインテリア。写真はG、G e-4ORCEにオプション設定される高級感満点のナッパレザー(抗菌仕様)
エクストレイル史上最も高級なインテリア。写真はG、G e-4ORCEにオプション設定される高級感満点のナッパレザー(抗菌仕様)

 視認性に優れたメーターパネル、操作性に優れた12.3インチの大画面ナビゲーション、大画面ヘッドアップディスプレイなども装備する。

 新型では旧型よりも全高が低くなっているが、後席のヘッドクリアランス、膝回りの広さなどクラストップ。

 後席のシートスライド量が旧型より20mm伸ばされたことと合わせて、快適なリアシートの居住性を確保している。

 最後に先進性について。今やあって当たり前となったADASでは、待望のプロパイロットを採用。進化したプロパイロットパーキングにより駐車も楽々。

 そのほかコネクティッド機能も充実。

 対話型インターフェイスも進化し、「ハローニッサン」と呼びかければ車内のコントロールが可能だし、アレクサを呼び出せば「自宅のエアコンつけて」など、自宅の家電の操作までできる。

 価格は319万8000〜504万6800円で、e-4ORCEは347万9300円から手に入れられる。

 これは旧型のハイブリッドと大きく変わらない価格で、タフ×高品質×先進性という欲張りな大進化をしていることを考えても、かなりお値打ち!

■シビれる加速と優れたハンドリング プロパイロットも魅力

オンロードしか試せていないが、ミドルクラストップのハンドリング性能を持つ。プロパイロットによるイージードライブも魅力
オンロードしか試せていないが、ミドルクラストップのハンドリング性能を持つ。プロパイロットによるイージードライブも魅力

 試乗会場は追浜にあるグランドライブ。

 走り出し全開加速を試みる。少しノーズを持ち上げながら、素早いGの立ち上がり。これがe-POWERの魅力のひとつ。そのまま踏み続けると160km/hをオーバー。

 なかなか速いね。この全開加速、160km/hを記録するまでのプロセスで気付かされるのが静かだなぁ、ということ。

 発電を担う1.5L可変圧縮比VCターボの出力は144ps/25.5kgm。これまでのe-POWERの場合どうしても高負荷でエンジンのうなり音が気になっていた。

 しかしVCターボの採用で大トルクを得、走行状況に適した圧縮比コントロールを行い、大幅にエンジン回転数を下げることを可能にしているのだ。

 また各所への吸音・遮音対策もあり、室内の静粛性は高い。

 駆動するモーター出力は前204ps/33.7kgm:後136ps/19.9kgmの4WD。ブレーキングしながらバンク内側の深く回り込む55Rの左コーナーに進入。

 高速からのブレーキングも安定感が高く、ブレーキングしながらのレーンチェンジでもリアのグリップ感がしっかりとしている。

 アクセルOFFからブレーキングというプロセスのなかで、リアモーターがブレーキにあたる回生を行いリアの車高を下げるので、前のめりになりすぎず安定。

 そして55Rを60km/h前後で旋回。四駆の特性を見るべくアクセルを全開にしてみる。

 するとどうだ、普通ならアンダーステアーを発生するところをグイグイとフロントが切れ込んでいき、ステアリングを切り足すこともなく操舵角一定のままクリアしてしまった!

 つまり、四駆の前後駆動配分を緻密に制御しながら4輪個別にブレーキをかけてアンダーもオーバーも出さないように制御するブレーキベクタリングなのだ。

 リアモーターの駆動力が一般的な電動四駆に比べて大きいこともこのハンドリングの要因となっている。このe-4ORCEを搭載する新型エクストレイルで早くオフロードを走ってみたくなった。

●日産 エクストレイル(G・e-4ORCE)主要諸元
・全長×全幅×全高:4660×1840×1720mm
・ホイールベース:2705mm
・車重:1880kg
・最低地上高:185mm
・最小回転半径:5.4m
・エンジン:直3DOHC VCターボ、1497cc
・最高出力:144ps/4400-5000rpm
・最大トルク:25.5kgm/2400-4000rpm
・モーター(フロント):204ps/33.7kgm
・モーター(リア):136ps/19.9kgm
・WLTCモード燃費:18.4km/L
・価格:449万9000円


次ページは : 【番外コラム】4WD追加で超絶に楽しいハンドリングを実現させたキックス

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