■「アップグレード」と「パーソナライズ」の効果はいかに?
今回は取材ということで、「アップグレード」の前後も体感できた。まず「アップグレード」前のどノーマル状態は、GRヤリス1.6Lターボ4WDはいつも自分で乗っているクルマながら、それほど広くないところでの試乗だったこともあり、この状態でも「1.6Lながら全域パワフルで速い!」ということが改めてわかった(笑)。
「アップグレード」後は効果のデータが3000rpm台でのトルクアップということもあり、2速3000rpmからの加速を中心に試したところ、試したかぎりでは3000rpm台以上に4000~5000rpmでのターボ車らしい爆発的な加速感の向上が印象に残った。
「アップグレード」後の効果は一般道なら「3速3000rpmからの上り坂での加速」、スポーツ走行なら「高めのギアでのコーナーからの脱出」といった、より実践的なシーンでのほうが体感できそうな雰囲気だ。
筆者個人はGRヤリスでのスポーツ走行は、GRヤリスはスポーツ走行をするとタイヤをはじめとした消耗品の出費が嵩みそうなため、冬場にスタッドレスタイヤだけですむのに加え、クルマの負担が少ない氷上や雪上という低ミュー路でしかほぼやっていない。
そのためアップグレードの効果で、それほどエンジン回転を上げない低ミュー路でのパワードリフトがトルクアップでよりやりやすくなると嬉しく、それは確実だろう。
さらにメーカー純正ということもあり、動力性能が向上しながら前述のマツダやボルボ同様に車両保証は継続されるというのも大変嬉しい。
イベントでの「パーソナライズ」はGR部門の開発スタッフとのディスカッションからはじまるのだが、これが「パーソナライズ」に向けた「自分が目指したい方向」など、過去の車歴なども加味しながらの内容が実に多岐に渡る。
筆者はGRヤリス1.6Lターボ4WDの絶対的な性能自体には十二分に満足しているため、「より運転しやすく、コントロールしやすい楽しく運転できる方向で(可能なら特に低ミュー路で)」という方向でお願いした。
■オーナーのスポーツ走行で実際にデータ収集
次は精密検査にあたる、オーナーのドライビングスタイルのデータ収集のため横滑り防止装置オフ&4WDトラックモードで行うスポーツ走行だ。開発ドライバー氏によるお手本走行のあとに実践となるのだが、筆者の運転は特にクルマに嫌がられるようなこともなく(たぶん)、「そこそこ」とか「普通」というところだったようだ。
スポーツ走行後は自分と開発ドライバーの走行データの比較も行いながらのディスカッションだ。これが筆者は今まで計測装置を使って自分の走行データを見たことをなかったこともあり、非常に面白かった。
昨今、スポーツ走行が上手くなるために重要なのは「車載映像と、自分や他人の走行データを合わせて分析すること」と言われるのがよく理解できた。
GRヤリス自体に対しては乗り慣れているクルマというのもあり、データ収集のためのスポーツ走行をしても大きな不満はなく、走行データでも目立ってひどいところというのもなかった。
だが、ここからがイベント参加によるパーソナライズの価値で、ディスカッションの結果、アクセルレスポンス/アクセル操作によるクルマの向きを変えやすくため「コントロール重視」、4WD/(筆者は現在BRZを持つなどFR車の経験が多いこともあり)「前45:後55」、ステアリング/低ミュー路含めたインフォメーションを取りやすくする目的も含めて「重め」というパーソナライズを各々お願いした。
パーソナライズ後のGRヤリスは全体的に「より乗りやすくなった」という印象だ。特に定常円旋回では変更の相乗効果でより曲がりやすくなり、コントロール重視にしたアクセルレスポンスと重めにしたステアリングによりアクセル操作による向き変えがしやすくなったことで、ステアリングの操作量の減少が体感、車載映像、走行データ各々から確認できた。
また、走行データが開発ドライバー氏に近いものとなったのも見逃せないパーソナライズの効果といえるだろう。
コメント
コメントの使い方800万クラスのGRMNと出力的には同じになるという大幅なアップデート、これを3万人近い全オーナーが受けられる形で提供というのは、思い切ったことをしたもんだと思う
ぼちぼちレビューも挙がってきて、数字以上にトルクカーブや出力特性が良くなっているようで、非常に興味深いです