■ふたつのメニューで何がどう変わる?
冒頭に書いたGRアップグレードセレクションを構成するふたつのメニューを具体的に紹介していこう。
まず、「アップグレード」はエンジン性能を272psという最高出力こそ既存車と変わらないものの、既存車では3000~4600rpmの間で37.7kgmを発生していた最大トルクが加給圧を含めたエンジン制御の変更により、3200~4000rpmの間で39.8kgmに向上する。
この数値は数値としては500台限定のGRMNヤリスと同等で、トルクアップの領域が頻繁に使う中回転域だけにスポーツ走行時はもちろん、一般道での走行でもフィーリングや実質的な速さの向上が期待できる。
モータースポーツでのソフトウェアでのセッティング変更同様、「クルマをオーナーに合わせるもの」となる「パーソナライズ」は電子制御スロットルによるアクセルレスポンス、3つのモードから選べる4WDの駆動配分においてタイム重視となるトラックモードの駆動配分、電動パワステによるハンドルの重さを各々標準状態を含めて3つから選んで設定できる。
具体的な設定は、次のようなものとなる。
・アクセルレスポンス/アクセル操作に対し、シャープに反応するレスポンス重視、標準、アクセル開度30~70%という過渡領域のコントロール幅を広げたコントロール重視
・トラックモードでの4WD駆動配分/前55:後45、標準(前後50:50)、前45:後55
・ハンドルの重さ/重め、標準、軽い
「アップグレード」と「パーソナライズ」のインストールは、「アップグレード」(14万1400円)を全国のGRガレージかインターネット上のKINTO FACTORYから申し込むことから始まる。
なお、昨年6月に登場したGRヤリスにスーパー耐久を走るルーキーレーシングのレーシングカーの雰囲気を内外装に盛り込んだKINTO専用車となる「モリゾウセレクション」では、「パーソナライズ」はすでに展開されており、料金は「アップグレード」も含め月々の使用料に含まれる。
■「パーソナライズ」には「アップグレード」を前提にふたつのやり方を設定
「パーソナライズ」は「アップグレード」のインストールを前提に、ふたつの方法がある。ひとつ目はGRガレージでの施工でいったん完了というもの。これは「自分が目指したい方向」などを専門知識を持つGRコンサルタントとのディスカッションを通し、セッティングを決めるもので病院で例えると、症状に対して問診と治療を行うイメージだ。
ちなみに最初のパーソナライズのあとも、オーナーのドライビングスタイルの変化などにより再度パーソナライズをしたい場合には8800円で可能だ。
ふたつ目は今回体感会が行われた富士スピードウェイのジムカーナ場をはじめとしたクローズでのイベント参加も伴うもの(料金は+1万5000円)。
筆者はこちらに参加したのだが、こちらは後述するようにトヨタGR部門のスタッフとの問診という名のディスカッション、開発ドライバー氏が同乗してのフルブレーキ&オフセットブレーキ(緊急回避しながらのフルブレーキ)、スラローム、小さな円での定常円旋回というスポーツ走行によるオーナーのドライビングスタイルの診断、診断結果を通じた「パーソナライズ」の提案、「パーソナライズ」後の走行&ディスカッションというテンコ盛りのメニューとなる。
こちらは病院で例えると、「精密検査も行い、入念に治療方針を話し合った上で実際の治療を行う」というイメージだ。
なお、パーソナライズイベントで使うGRヤリスはオーナーのものではなく、トヨタ側が用意するもので、実際のアップグレード&パーソナライズの施工は診断カルテをもとに後日GRガレージで行われる。
コメント
コメントの使い方800万クラスのGRMNと出力的には同じになるという大幅なアップデート、これを3万人近い全オーナーが受けられる形で提供というのは、思い切ったことをしたもんだと思う
ぼちぼちレビューも挙がってきて、数字以上にトルクカーブや出力特性が良くなっているようで、非常に興味深いです