実際にトラックを運転しているドライバーさんは電気トラックをどう評価するのか? 非常に興味深い観点だと思います。
そこで、長年小型トラックで食品関係の配送業務に携わり、最近は中型トラックにステップアップした中堅ドライバーのAIKAさんに三菱ふそうの電気小型トラック「新型eキャンター」に試乗してもらいました。
トラックドライバー目線でレポートする最新の電気小型トラックのファーストインプレッションです。
文/中堅ドライバーAIKAさん、写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
*2023年3月発売「フルロード」第48号より
まず第一印象は、とても乗りやすいトラック
コンニチワ! トラックドライバーのAIKAです。テストコースで三菱ふそうさんの新しい電気トラック「新型eキャンター」に試乗するという、とても貴重な体験をさせていただきました。
その際に感じたことをお伝えしたいと思いますが、まず第一にとても乗りやすいトラックだと思いました。
私は「キャンター」をはじめ何台もディーゼルトラックに乗ってきましたが、ギアチェンジの際のショックがない滑らかでスムーズな発進・加速は、まったく別物ですね。ガソリンの乗用車よりも静かだし、とても快適でした。
回生ブレーキもいいですね。通常のディーゼルトラックでは、排気ブレーキをONの状態でギアを入れたままアクセルを離すと排気ブレーギが作動しますが、新型eキャンターでは、シフトレバーを軽く上下させることで、回生ブレーキの効きを調節でき、一番強い「3」にすれば、ある程度の速度で坂を下っていても、通常のブレーキを踏み過ぎることなく停車させることができます。それによってブレーキパッドなどの消耗もかなり減らせるのではないでしょうか。
安全装備の充実が嬉しい
安全装備で特にいいなと思ったのが、左折巻き込み事故防止をサポートする「アクティブ・サイドガード・アシスト1.0」です。トラックは死角も多く、左折時にどうしても見えない時は、私はミラーを半分たたんで歩行者や自転車を確認することがしばしばあります。
でも、暗い夜道などで黒っぽい服装の歩行者だったりすると本当に見えません。接近状況に応じてブザーやランプなどで危険を知らせてくれるこの機能は、一般のトラックにも早く普及してほしいと思いました。
音が静かなのも、やはり電気トラックですね。車庫や倉庫が住宅地にあったり、近隣に住宅がある運送会社も多いと思いますが、これだけ静かなら朝早く稼働したり夜中まで運行していても騒音がかなり軽減されると思います。
それにトラックは、ただでさえ威圧感があるので、乗用車のドライバーさんにはエンジン音で煽られていると感じさせてしまうことがあると思います。新型eキャンターは、そんな威圧感を感じさせない優しいトラックと言えるのではないでしょうか。