日産は「日本」を諦めていなかった…新スカイライン・エルグランド・新コンパクトで挑む「母国再建」の可能性

日産は「日本」を諦めていなかった…新スカイライン・エルグランド・新コンパクトで挑む「母国再建」の可能性

 2026年4月14日、日産自動車のイヴァン・エスピノーサ社長はグローバル本社で会見を開き、新長期ビジョンを発表。新型スカイラインや新型エクストレイル・ローグなど新商品の先行公開とともに、グローバル戦略も発表。米国や中国での展開に先んじて「ホームマーケット」である日本市場の商品展開戦略が語られた。

文:ベストカーWeb編集局長T、画像:日産自動車

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「売る市場」から「再建の本丸」へ——日本の位置づけが変わった

 日本に住んでいて長く日産自動車のファンだった人に聞けば、10人中9人が「昔の日産は楽しくて面白かったけど、最近の日産は面白くない、日本市場のことをあまり考えてくれていないからだ」という主張に同意してくれるだろう。

 マーチやキューブ、パルサー、ブルーバード、プリメーラ、セドリック/グロリア、シーマと、わくわくするクルマがたくさんあったが、時代の流れとともにみんな消えていってしまった。

 日産はグローバル企業として成長していくとともに、日本市場から米国、中国、欧州へと、生産や開発・販売の力点を他地域へ移していった…という思いがあった。

 しかし今回の長期ビジョンで、「日本市場に力を入れます」と、改めて語っている。列席していた記者にはすくなくともそう感じた。なにより重要なのは、日産が日本を、米国、中国と並んで「リード市場」として並列に置いた——つまり、日本は”お膝元だから大事”という情緒的な話ではなく、グローバルの競争力を引っ張る戦略的な起点として、公式に格上げされたと考えられる。

 今回発表されたビジョンの骨格は「モビリティの知能化で、毎日を新たな体験に」。AIを中核に据えたAIディファインドビークル(AIDV)を将来的にラインナップの約9割に展開し、商品モデル数は56から45へ絞り込む。さらに日本・米国・中国の3リード市場が一体となることで「イノベーションの展開力、需要に応じた供給、スピード・コスト・訴求力の競争力強化」を狙う(本件については別途詳細に分析する)。

日産グローバル本社で本日投影された日本市場へ向けた資料スライド
日産グローバル本社で本日投影された日本市場へ向けた資料スライド

 そして本記事での本題、日産の今後の日本市場での展開については、「次世代プロパイロットの導入や自動運転モビリティサービスの実証をリードする」としており、日本が”AI技術の実験場”として最前線に立つ構図が鮮明になった。横浜本社を擁するホームマーケットで最新技術を磨き、それを世界に展開する——かつての”技術の日産”の文法が、AIの時代に形を変えて戻ってきた、とも読める。

新エルグランド、スカイライン、パトロール、コンパクト……日本市場への”商品攻勢”

日本市場の重要性と方向性を語った、日産自動車CPO(チーフパフォーマンスオフィサー)ギョーム・カルティエ氏
日本市場の重要性と方向性を語った、日産自動車CPO(チーフパフォーマンスオフィサー)ギョーム・カルティエ氏

 技術戦略と並んで、商品面の手厚さも見逃せない。

 日本向けに明示された新商品の投入スケジュールは以下の通りだ。まず2026年夏に新型エルグランドを発売。次世代プロパイロットは2027年度末までに同車へ導入予定とされており、旗艦ミニバンが”動く知能化体験の場”となる。さらにパトロールを2027年度前半、ムラーノを2027年初頭に日本導入。軽EVのサクラも改良が進む。

 そうしたなか、象徴的なのがスカイラインの扱いだ。今回のビジョンで日産は商品を「ハートビートモデル」「コアモデル」「成長モデル」「パートナーモデル」の4種に分類した。そのなかで日本のハートビートモデルに指名されたのが、ほかでもないスカイラインである。「ドライバー中心で、高性能で意のままの走りを実現する」と明記され、ティザー映像も公開された。日産ブランドの情緒的価値と革新性を体現するモデルに”名前のある一台”を据えた——この判断は、日本市場のファンへの強いメッセージに他ならない。

今回の長期ビジョンで投影された次期スカイラインのリアショット。丸目四灯だ……
今回の長期ビジョンで投影された次期スカイラインのリアショット。丸目四灯だ……

 加えて、今回本企画担当者が一番注目したいのが「2028年度以降には新たなコンパクトカーシリーズを投入し、若年層へのアプローチを強化する」と言及された点。ノート系後継なのか、まったく新しい若年層向けカテゴリなのか、詳細はまだ明かされていないが、日産が未来の顧客を本気で獲りにいく意志は読み取れる。

 そうですよ、長く日産を支えたのは、マーチやキューブといった、若者に支持されたコンパクトカーだったじゃないですか。復活、待ってますよ!!

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