■同じBセグのSUV群がライバルとなる
LBXのボディサイズは、輸入車だとフォルクスワーゲンTロックと少し格下だが弟分のT-Cross、アウディQ2、イタリア車ではフィアット500X、フランス車ではルノーキャプチャーやDS3、シトロエンC3エアクロスSUVなどが直接のライバルに挙げられる。
日本車では日産のキックスやマツダのCX-3が同じクラスになりそうだ。だが、相手はレクサスだから直接のライバルにならないだろう。
LBXはサイズのヒエラルキーを超えた小さな高級クロスオーバーカーとして送り出された。キャビンはスポーティな味わいが基本だが、ラグジュアリームードにも仕立てている。
■LBXのインテリアはどうか?
ドアトリムまで回り込んだ水平基調のインパネのドライバーの前には12.3インチのフル液晶メーターを配置した。大きなセンターコンソールの上段には9.8インチのディスプレイを組み込んでいる。ヤリスクロスと違って手触りのいいソフトパッドを多くの場所に張り込んでいるのも特徴のひとつだ。
ドアノブを握ってドアを開け、キャビンに滑り込む。ドアは電気信号で開閉させるe-ラッチシステムを奢っている。
全幅を広げた効果もあるのだろう。ドアの閉まる音も重厚だ。ドライバーの前に置かれたメーターは、とても見やすい。ヤリスクロスと同じかと思ったが、乗り込んでかなり違うことに気がついた。ステアリングの角度は違うし、着座位置も低いなど、ドライビングポジションはずっとスポーティだ。
スイッチは操作しやすいし、シフトレバーも手元で動かしやすい。さすがに後席は広いとは言えないが、170cmくらいまでの身長なら頭上にも膝もとにもミニマムな空間が残され、窮屈ではなかった。ラゲッジルームもそれなりの広さだ。
■搭載するパワートレーンは直3の1.5Lハイブリッド
搭載するのは1.5Lの直列3気筒DOHCエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドである。これにアクアと同じようにバイポーラ型ニッケル水素電池を搭載した。
試乗したのはFF車で、前後のサスペンションはストラットとトーションビームだ。これに新構造のダンパーを組み合わせている。リアにモーターを搭載する4WDモデルは、リアサスをダブルウィッシュボーンとしている。
プロトタイプだったこともあり、ステアリングを握ったのは富士スピードウェイのショートコースだ。走り出すと、ヤリスクロスで気になった振動と不快なノイズが大幅に低くなっていることがわかる。
そしてアクセルを踏み込むと、シュンと伸びのいい加速を見せた。モーターならではの応答レスポンスのよさと滑らかさが際立っている。上級モデルにはパドルシフトも装備されているから、より気持ちいい走りを楽しめるだろう。ヨーロッパ勢と比べるとダイレクト感は少し薄いが、燃費のよさではライバルを圧倒だ。
■しなやかな足とリニアなハンドリングがLBXの魅力!
サーキットを走ってもボディ骨格がしっかりしている。また、ロール剛性が高く、荒れた路面でも足がしなやかに動いた。装着タイヤはヨコハマ製のアドバンV61だったが、接地フィールがよく、上りのコーナーでもトラクションのかかりがよかった。
リニアリティの高いハンドリングも魅力のひとつだ。クイックな操舵レスポンスで、身のこなしも軽やかだから狙ったラインに乗せやすかった。スポーティな味わいに加え、ハンドリングと乗り心地の妥協点も高い。走りの質感が高いと言われるドイツ勢やフランス勢と比べても、ハンドリングの気持ちよさが光っている。
プレミアムカジュアルを売りにするLBXは、インテリアで5つの世界観を提案した。試乗した「COOL」は本革にウルトラスエードの組み合わせで、赤いステッチがアクセントだ。
展示車の「RELAX」はサドルタンカラーの上質なセミアニリン本革シートに美しい刺繍をあしらっている。これらで満足できない人にはオーダーメイドシステムが用意され、シート表皮だけでなくステッチ糸やトリムなども自由に選ぶことが可能だ。
LBXの販売価格は現時点では公表されていないが、ヨーロッパ勢と比べてもプレミアムコンパクトとしての資質は高いと思う。
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