■GT-R NISMOは車体がひと周り小さく感じる
続いて一般道。印象的なのは「車体の大きさをまったく感じさせなくなりましたね」ということ。
初期のGTーR、ワインディングロードでも街中でも常に車体の大きさを感じさせた(これも一般道でハンドル握った時の大きな不満点のひとつだった)。
GTーR NISMOに乗っていると、ポルシェ911と同じく、いい意味で大きいクルマに乗っている感じがしない。
CPSの田村さんいわく「バンパーやボンネット、ルーフなどをカーボンにしたためです」。
クルマが小さく感じるという現象、私の経験だと違う側面もあると考える。今までリーフとMIRAIを競技車両に仕立てた。
軽量化は予算不足でまったくできなかったものの、サスペンションを煮詰めていくと車両の動きのコントロール性がドンドン上がっていく。
結果的に「意のままに動く」ようになるため、車体の大きさを感じなくなるのだった。あの大きなMIRAIを狭い林道で全開してストレスないから驚く。
GTーR NISMOでいえば軽量化に加え、サスペンションの仕上がりがよくなったんだと考える。
狭い街中やセンターラインないような狭いワインディングロードでもひと回り小さいクルマに乗っている感じ。GTーR NISMOで最もウナった点です。
ホンモノの「いいクルマ」になったと思う。ニュルでタイムを出すために作ったクルマながら、結果的に魅力あるGTカーになったということ。
3つ目の試乗メニューはサーキット走行。ベルリン近郊にある『ユーロスピードウェイ』(1周4㎞弱)を速度リミッターなしで、好きに走っていいとのこと。
初めて走るサーキットのため、現役レーシングドライバーが3ラップライン取りを教えてくれるという。
ということでナビシートに座りコースをレクチャーしてもらうのだけれど、をいをい! 2ラップ目から全開!! もしかして楽しんじゃってないか?
運転を代わりコースイン。サーキットのセオリーどおり1ラップコースチェックしようとしたら「もっと踏んでいいですよ」。
丁寧に運転させるための見張りかと思いきや、そうじゃなかった。
となればためらわない全開オヤヂであります! 3つ目のコーナーから全開! 裏のストレートは220㎞/hくらいまで出る。このくらいでしょう、というタイミングでブレーキ踏むと、あらま! 思ったより減速しちゃいました〜!
書き遅れたけれど、GTーR NISMOにはローター径410mmという市販車最大級のブレンボ製カーボンディスクが付いている(リアも390mm)。こいつが素晴らしい仕事をするのだった。
2番目に長いストレートは220km/hからブレーキングしながらコーナーに入るという筑波の最終コーナーのような曲がり方。
これまたフルブレーキから少しブレーキ残しつつハンドル切り込んでいくような時のコントロール性も素晴らしい!
何より凄いのは、250km/hから70km/hくらいまで落とす減速を含め、1ラップで何回もブレーキ酷使するコースなのにブレーキのタッチが”ほぼ”変わらないこと。加えてブレーキの耐久性高く、街中ならクルマの寿命より長いそうな。
サーキット走らせたって、ひとりで乗るならローター交換などする必要ないんじゃなかろうか。2420万円のGTーR NISMOの500万円分くらいがブレーキ分。納得できるプライスです。
ハンドリングも素晴らしく、600psを使い切れるか心配だったが、気がつけば全開全開また全開を堪能してしまっていた。これだけのパワーをしっかり使い切れるシャシー性能の高さに全面降伏し、スタンディングオベーションします。
そんなGTーR NISMOながら、2021年秋から厳しくなる騒音規制はクリアできないと思う。したがってエンジンだけで走る本物の国産スポーツモデルを買うなら最後のチャンスになる。お金あるなら急げ!
【日産GT-R NISMO 2020年モデル主要諸元】
全長×全幅×全高=4690×1895×1370mm
ホイールベース=2780mm
車両重量=1703kg
トレッド(F/R)=1600mm/1600mm
エンジン=V6 3.8Lツインターボ
最大出力=600ps/6800rpm
最大トルク=66.5kgm/3600-5600rpm
トランスミッション=6速DCT
タイヤサイズ=(F)255/40ZRF20/(R)285/35ZRF20
価格=2420万円(消費税10%込み)
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