2023年8月に発表された『新体制による方針説明』の中で、スバルならではの価値づくりのために打ち出した、ソフトウェアアップデートによる「減価ゼロ」の実現。クルマの魅力を減らさずに、スバル車と長く付き合えるようにする製品の第二弾が発表された。
REPORT/国沢光宏、PHOTO/平野陽、提供/SUBARU
部品交換なしでエンジン特性を変更できる!『SUBARU Sport Drive e-Tune』
スバルで『e-Tune』といえば3代目レガシィGT-Bにラインナップされた『Eチューン』の印象が深い。レガシィに導入された時の〟E〝はヨーロッパの頭文字で、ドイツ車の走りをイメージしてセットアップされたモデルだった。
今回の〟e〝は、電気(ELECTRIC)の頭文字。今やクルマのセットアップって制御ECUを書き換えて行う。興味深いことに部品の交換なしで、エンジン特性を自由に変更できるワケです。
今回導入されたのは、A型(初期型。スバルは毎年改良を加えている)からC型までのBRZを、現在販売しているD型と同じ特性にするというプログラムである。
D型はスーパー耐久で走ったBRZの知見を導入しており、簡単に言えばアクセル踏んだ時の出力特性を最適化し、車両姿勢のコントロール性能を大幅に改善させた。AT車について言えば、シフトダウン回転数も高めている。
アップデートするとどのくらい変わるの!?
どのくらい違うかといえば、わかりやすく少し誇張して書くと、テールをスライドさせた時のコントロール性が笑っちゃうくらい違う。凍った道の上を歩くことをイメージしていただきたい。一気に体重をかけると滑りやすい。
同じようにコーナリング中、一気にパワー出したらリアが滑ってしまう。逆にジンワリ体重をかけると滑らない。クルマで言えばリアが粘るためアンダー傾向になる。
適切なパワーの出し方をしてやれば、ちょうどいい感じになり、テールを自由にコントロールできるようになるという寸法だ。
実際、D型がデビューした際、C型と乗り比べたけれど、もう楽しさがまったく違った。電子スロットルの制御だけで、こんな乗りやすくなるとは予想もしておらず。今回A~C型に乗っている人のために用意されたe-Tuneでアップデートすると、あっと言う間にD型になる。
これまた試乗してみたら、なるほど! C型も決して乗りにくいクルマじゃないものの、一段と楽しめるクルマになっている。
AT車の場合、コーナーに進入しクリッピングポイントから立ち上がる時のエンジン回転数が高くなり(パワー出ます)、後輪のコントロール性が格段に上がっている。MT車は5万5000円。AT車だと3万3000円でアップデートできる予定だ。C型までのBRZに乗っているならぜひお試しを!
AT車 ダウンシフト制御
AT車では、オーバーレブによるエンジンへのダメージを防ぐために、エンジン回転数に制限をかけていたが、アクセル/ブレーキの開度や減速度などからドライバーの意図を総合的に判断し制御することで、マニュアルシフトダウン時の許容回転数領域を拡大。ドライバーの意思で回転数をコントロールできる自由度を高めた。
MT車専用 SPORTモード
スーパー耐久(S耐)に参戦するマシンから得た知見・経験をもとに、より自在に加減速をコントロールできるスロットル特性に変更。踏み込み量に対するリニアな特性を追求。
D型では、ノーマルモードとSPORTモードの切り替えスイッチがあるが、書き換えると常時シャープな制御のSPORTモードになるので注意が必要だ。
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