2024年5月9日(木)~11日(土)の3日間、みなとみらいエリアにあるパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で、トラック関連業界における日本最大の展示会「ジャパントラックショー2024」が開催されている。
いま物流業界は、コロナ禍によるEC市場の影響で急拡大する一方で、人材不足やドライバーの高齢化、そして2024年4月からはトラックドライバーの時間外労働960時間規制と改正改善基準告示が適用され、いわゆる「物流の2024年問題」に直面しているのだ。
物流業界が抱える環境配慮や車両整備の省人化が問われる中、タイヤメーカーであるトーヨータイヤが「ジャパントラックショー2024」に初出展。タイヤメーカーができる物流2024年問題のさまざまな課題に対する答えとなる、新製品を発表した。本稿では速報をレポートする。
文、写真/萩原文博
小型BEVトラックの特性に合わせた非対称パターンの専用タイヤを発表
東京オートサロンでは常連のトーヨータイヤだが、意外にもジャパントラックショーには今年(2024年)が初出展。実は2020年に出展する予定だったが、コロナ禍となりイベントは中止となったため今回が初となった。
コロナ禍だった4年の間にトーヨータイヤは、2021年夏、タイヤ製造に欠かせない天然ゴムの調達方針を刷新。また2021年10月にはトラック・バスタイヤの商品企画部を設立する組織変更を行い商品企画力の強化を図られている。
その結果、今回の「ジャパントラックショー2024」では、6月に販売開始する2つの新商品と今秋に発売予定のスタッドレスタイヤ、さらに新しいコンセプトタイヤを出展することで、タイヤメーカーとしてユーザーに寄り添いサポートしていくことを発信している。
現在、物流業界が抱えている問題は大きくわけて2つある。一つが脱炭素化そして人材不足だ。
物流業界の脱炭素への意識が高まるなか、新型車の発売が続いているのが小型BEVトラックで、導入を検討する企業も多くなっている。
トーヨータイヤでは小型BEVトラック専用として、6月より販売開始するリブタイヤのナノエナジーM151 EV。そして秋に発売予定のスタッドレスタイヤ、ナノエナジーM951 EVを展示した。
M151 EV、M951 EVどちらのタイヤも小型BEVトラック専用に作り込んだ非対称パターンを採用しているのが特徴。
これにより、ウェット路面や氷雪路面でもしっかりとグリップするトラクション性能とBEVの特徴である高トルクにも対応した耐摩耗性能を高レベルで両立。さらに偏摩耗を抑制する非対称パターンとタイヤサイド部の外傷からタイヤ内部を守るサイドプロテクターを採用するなど、低メンテンス性能を実現している。
またM151 EV、M951 EVどちらのタイヤも、環境に貢献するためサステナブルを考慮し、再生素材をビード部分に使用しているのも見逃せないポイントだ。
ショー会場ではモータージャーナリストの竹岡圭氏がトークショーを展開、その場で流れた映像では、このナノエナジーM151 EVを装着したトラックを試乗。インプレッションを紹介してくれた。
竹岡氏によると、まず発進時の蹴り出しが強くなった、そして常に接地感が感じられ、コーナリング時はタイヤの外側が踏ん張って仕事をしているフィーリングが伝わってくるとのこと。
板チョコに例えると、直線を走っている時は、四個分が四角く路面にくっついている感じで、コーナリング時は、板チョコが二個分となり、外側の剛性感を感じる。
リブとブロックのいいとこ取りで、常にタイヤの接地感が高まり、ドライバーは安心感が提供されると独特の言い回しを使いながら説明してくれた。
またコロナ禍で大きく需要が拡大したネット通販市場。そこで活躍するのが小型トラックだ。この小型トラックに装着するタイヤは摩耗に強く、低燃費であることが最も求められる。
このリクエストに応えて今回出展したのが、6月から販売開始される小型トラック用リブタイヤとして、デルベックスM135だ。
このデルベックスM135は新しいコンパウンドの配合技術とトレッドパターン設計により、ロングライフ性能と低燃費性能を両立。さらに安心感のある高いウェット性能を兼ね備えているリブタイヤとなっており、発売開始が待ち遠しい。
またブース内には、使用済のタイヤに新しいトレッドゴムを貼り替え、再使用可能としたリトレットタイヤも展示。新品タイヤに比べて、資源およびCO2排出量が削減できること。そしてコストを低減できるメリットがある。
トーヨータイヤのリトレットタイヤは、タイヤの受入検査から始まり、外観ではわからないタイヤ内部の検査まで徹底した品質管理のもと行われているのでとても安心だ。
そして物流業界が抱えるもう一つの問題が人材不足だ。この影響で、トラックのタイヤ整備にも大きく影響し、メンテナンスの省人化が求められている。
そこでトーヨータイヤでは、様々なタイヤメンテナンスの中でも、頻度の高いローテーションと空気圧補充に着目し、運送会社と協力して高性能なオールウェザータイヤの開発を進めている。
今回参考出展された低メンテナンスのオールウェザータイヤは、環境配慮や車両整備の省人化が問われる中、少しでもメンテナンスに要する時間を省くことのできるタイヤをコンセプトとして、偏摩耗の発生を抑制するパターンデザインにより、タイヤのローテーション回数を減少させ、ロングライフを追求したプロトタイプタイヤだ。
トーヨータイヤは実際に使用するユーザーの声により一層耳を傾け、共に開発するという商品開発しているのだ。
https://www.toyotires.jp/product/tb/
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