「物流の働き方改革」で何が変わったか!? トラックドライバーの視点から2024年を総括

バース予約システムは役に立つか?

 トラックバース予約受付システムを、2024年になって導入する事業所が増えた。矢野経済研究所によれば、2023年度で既に全国の導入件数が2500拠点になっているという。

 バース予約システムは、大手の発荷主や着荷主が、主に荷待ち削減の計画、ドライバーの労働時間短縮のために導入するもの。だが、そのシステムは本当に役に立っているだろうか?

 システムにもさまざまなタイプがあり、スマホアプリから操作できるもの、受付に設置してあるタブレットで入力するものなどがある。

 バース予約システムを導入すると「荷待ち削減に協力的な事業所」として行政から認められるらしく、ドライバーの利便性よりも、導入そのものが目的化されている風潮もある。

 ある事業所では、荷降ろし体制は従来のままでシステムを入れた。朝8時の受付開始からタブレット入力の長蛇の列ができ、並びの進みは従来の手書き受付よりも遅くなってしまった。

 また、スマホ受付しても、従来通り受付にも行かなければならない二度手間や、事業所ごとに幾つものアプリを入れなければならないため操作が煩雑になる場合もある。

 バース予約システムが悪だとは言わないが、いまのところドライバーにとってあまりメリットはないようだ。

 まだ草創期であるから、改良の余地は多分にある。例えば、荷降ろしの貨物にはトレーラ丸々1台分の貨物から、パレット1枚、ダンボール1箱といったものまでが混在している。

 それらの荷降ろしに掛かる時間をAIなどで計算し、荷降ろし順序を最適化すれば、数多くの待機車両を早くハケさせることができるだろう。こうした使い方が予約システムの本領だろうと思う。

 ただし、積み降ろしバースの増設や、フォークリフト、オペレーターの増員など、本質的な荷役能力の増強がなければ、システムだけ導入しても荷待ち時間の削減はできないのだと思う。

Hacobuが提供するバース予約システム「ムーボ・バース」のイメージ
Hacobuが提供するバース予約システム「ムーボ・バース」のイメージ

 モーダルシフトや中継輸送で必要な荷役スキルの均質化フェリー利用によるモーダルシフトや、トレーラ交換による中継輸送も仕事のなかで増えてきた。

 これらの荷物は多くのドライバーやオペレーターの手を介してお客さんの元に届くことになる。どこかの時点で貨物事故があれば、荷物はお客さんに届かない。

 そのため、従来の直行便よりもさらに高い精度の、荷締めの強さの統一、トレーラ脱着の正確性、安全運行など、プロフェッショナルで均質な荷役のスキルが求められるようになる。

 最後に、バース予約システム運営会社Hacobuの代表取締役社長・佐々木太郎氏の言葉を紹介したい。

『トラックを運転する「現場」もあれば配車をする「現場」もあり、庫内作業の「現場」も、さらそこに出荷指示や配送指示を出す「現場」もあり、その前には需給調整をする「現場」もある。このあらゆる現場を網羅的に理解している人はほとんどいない。

(中略)全体を俯瞰してサプライチェーンマネジメントの実行系として物流をとらえて考えられる人がほとんどいない。そこにさらに最近ではテクノロジーの知見を求められる。そんなスーパーマンはいないから、いかにチームを組成できるかが鍵なんでしょうね。』

 広く複雑な物流業界の全体像は誰にもわかりにくい。今後、輸送力は逼迫するのか? ドライバーの賃金は上がるのか? わからないが、今はただ、荷積みの技術をさらに向上させ、後身の育成にも努めるだけである。

【画像ギャラリー】トラックドライバーの視点で見た2024年の労働環境の変化(7枚)画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

次期MR2=次期セリカ!? 2025年に出る新車スクープ一覧も! SCOOP特盛のベストカー1/26日号発売中!

次期MR2=次期セリカ!? 2025年に出る新車スクープ一覧も! SCOOP特盛のベストカー1/26日号発売中!

 ベストカーWebをご覧の皆さま、こんにちは! 冬至のゆず湯をすっぽかした編集部告知担当です。ついに…