東京大学に世界最先端をめざす物流・交通の研究組織が誕生! 設立基金10億円をいすゞが寄付

東京大学に世界最先端をめざす物流・交通の研究組織が誕生! 設立基金10億円をいすゞが寄付

 東京大学といすゞ自動車は1月8日、東大がいすゞから10億円の寄付を受けて、先進的な物流・交通に関する研究組織を開設すると発表した。寄付金は、投資運用で研究資金を継続的に調達するエンダウメントの原資として活用し、最高学府の知を結集した研究を恒久的に進めていく。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
図/東京大学

今春始動するトランスポートイノベーション研究センター

いすゞ自動車の片山正則会長CEOと東京大学の藤井輝夫総長。片山会長も東大工学部出身である
いすゞ自動車の片山正則会長CEOと東京大学の藤井輝夫総長。片山会長も東大工学部出身である

 この研究組織は「トランスポートイノベーション研究センター」と呼ばれるもので、東大の大学院工学系研究科内に2月1日付で新設、今春から本格的な研究活動をスタートする。

 同センターでは、持続可能な社会構築における物流・交通で重要な情報技術(人工知能、自動化技術、センシング技術など)、それを実装するために必要な社会制度(法律など)、商流に不可欠な企業活動(金融・投資)なども領域とする、広範かつ多面的な研究に取り組み、現在および将来の課題解決に資する物流・交通ビジョンの確立を目指す。

 スケールの大きい研究かつ世界的にも最先端のテーマであることから、同センターをエンダウメント型研究組織として永続的かつ活発な研究を可能とし、世界をリードしていく次世代研究者の育成も進める。

 いすゞ自動車の片山正則会長CEOは、質疑の中で「(将来の)モビリティ社会の構想は(世界的にも)明確になっておらず、社会課題と向き合ったアカデミアの研究が必要だ。(研究成果は)直接いすゞの利益になるわけではないが、間接的につながってくる」と寄付の意義を説明した。

物流・交通を俯瞰した研究分野の全体像の概念(出典:東京大学)
物流・交通を俯瞰した研究分野の全体像の概念(出典:東京大学)

東大の『知』を物流・交通の先進研究へ結集

 「エンダウメント型研究組織」とは、寄付金を元手として金融市場で運用し、その運用益から研究組織の財源を継続的に調達するもので、欧米の名門大学では以前から採り入れられている。

 東大では、既存の専攻領域外にある学問課題でも、教員の任期にとらわれずに研究を進められる制度として2023年秋から導入。今回で2例目となるが、上場企業からの寄付を原資とするのは初となる。

 今春からの本格的な研究活動では、物流分野と交通分野をそれぞれ専攻とする教授2人と新分野開拓担当の准教授または講師1人の計3人を専任教員として、兼任の教員2人、数十人の学生、いすゞからの共同研究員3人が従事することになっている。センター長には東大の高橋浩之大学院工学系研究科教授が就任する。

 まさに最高学府の『知』を集めた布陣で、研究動向によってはさらに他の専攻分野からの参加や、いすゞ以外の企業とも連携する方針だ。

 研究は、社会基礎学・都市工学・機械工学・システム創成などを軸にしながら、人工知能、自動化技術、センシング技術などの革新的な工学分野も関連し、さらに社会制度設計や政策課題などの公民学(行政・自治体、住民・市民団体・企業、大学・教育研究機関の協働)の領域にもまたがる。また、それぞれの研究分野の境界領域も研究テーマのひとつで、それらの融合も図っていくという。

 研究目標に時限的な制約がないことが特徴だが、ある程度の段階で、国・自治体などに対して提言を行なうことも検討している。

向かって左からいすゞ自動車の藤森俊取締役専務・商品技術戦略部門EVP、片山いすゞ会長、藤井東大総長、東大の加藤泰浩大学院工学系研究科長・工学部長、トランスポートイノベーション研究センター長に就任予定の高橋浩之大学院工学系研究科教授
向かって左からいすゞ自動車の藤森俊取締役専務・商品技術戦略部門EVP、片山いすゞ会長、藤井東大総長、東大の加藤泰浩大学院工学系研究科長・工学部長、トランスポートイノベーション研究センター長に就任予定の高橋浩之大学院工学系研究科教授
【画像ギャラリー】いすゞの寄付で東京大学に「トランスポートイノベーション研究センター」が誕生(3枚)画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

次期型RAV4のパワーユニットが判明!?新型プレリュード試乗記も掲載のベストカー2/10号発売中!

次期型RAV4のパワーユニットが判明!?新型プレリュード試乗記も掲載のベストカー2/10号発売中!

 ベストカーWebをご覧の皆さん、こんにちは! クリスマスを愛車の油脂類総とっかえで終えた編集部告知…