燃料電池技術の背景にある水素エコシステム
インフラがなければ新技術の活用は進まない。燃料電池の普及、ひいてはBZA375が市場でそのポテンシャルを最大限に発揮できるかは、包括的かつ調和のとれた水素エコシステムの構築にかかっている。
電動化を契機に中国メーカーの進出が続いている欧州は今、岐路に立たされており、早期に対策を講じなければクリーンで競争力のある輸送システムに移行する機会を逃し、世界に後れを取るかもしれない。
加えて、ウクライナ紛争とホルムズ危機を経て、水素は経済だけでなく「レジリエンス」(危機に瀕した際に社会・経済を正常に戻す復元力のこと)において重要な役割を果たすという考え方が急速に広まった。
戦略的に自立を守り、経済成長と雇用を維持しながらネットゼロを達成するにはバッテリーと水素を組み合わせる必要がある。セルセントリックは、この道筋によりインフラコストを削減しつつ、水素モビリティ単独で50万人の雇用とバリューチェーンを欧州域内に創出するとしている。
水素のポテンシャルを解放するには、燃料電池システムの量産化が不可欠で、現状では世界をリードするBZA375はそのための試金石となるだろう。セルセントリックの次世代燃料電池は、水素エコシステムの推進と、エネルギーのレジリエンスを実現するために重要な役割を担っている。
なお、EUは2030年までに大型トラック・バスからのCO2排出量を2019年比で45%削減することを掲げている。そのためには大型車向けの水素ステーション(700バール圧力の高圧水素、もしくはsLH2=サブクールド液化水素)を欧州に2000か所整備する必要があるという。
現在のガソリンスタンドが、乗用車(ガソリン)と大型車(軽油)の両方に対応しているように、バッテリーと水素の両方に対応したインフラを整備するほうがコスト効率が高い。セルセントリックは業界レベルから政治・政策レベルまで、あらゆる水準で水素エコシステムの拡大を支援するため、欧州の代替燃料インフラ規制(AFIR)の改正を求めているようだ。
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