メルセデス・ベンツ・トラックスとダイムラー・バスは、子供の交通安全のために「セーフティ・トラック」および「セーフティ・コーチ」を活用している。実際の車両を使った安全教育により、子供が事故に巻き込まれるのを防ぐという。
2026年9月に開催される世界最大の商用車ショー「IAAトランスポーテーション2026」では、新たな安全支援システムも発表する予定で、大型商用車が関係する事故をさらに削減するための取組を進める。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG
商用車の安全システムと安全教育
ダイムラー・トラックグループに属する商用車メーカー2社(メルセデス・ベンツ・トラックスとダイムラー・バス)は、今年の交通安全活動の中心に子供を据えた。
ダイムラーはドイツの非営利団体・ブリッキe.V.が主導する「ドイチュラント・ブリクト」イニシアチブを支援しており、子供たちに交通事故の危険性を伝える活動を行なっている。そのためにメルセデス・ベンツの「セーフティ・トラック」と「セーフティ・コーチ」を活用して実践的なワークショップを開催している。
イニシアチブは未就学児と小学生、および高齢者を対象に広範な活動を行なっており、特に子供が巻き込まれる事故を大幅に減らすことを目標とする。
ドイツ自動車工業会(VDA)会長のヒルデガルト・ミュラー氏はブリッキのアンバサダーも務めており、VDAはIAA(偶数年は商用車ショーの「IAAトランスポーテーション」)の主催者だ。そのIAA2026でメルセデス・ベンツ・トラックスは、交差点で機能する新しい安全システムを2つ発表する予定だという。
同社CEOでダイムラーの取締役を務めるアヒム・プッヒャート氏は「ドイチュラント・ブリクトへの参加を通じてパートナー企業とともに子供の交通安全を強化したいと考えています。そのためには教育と意識の向上、そして相互理解が不可欠ですが、同時にトラックの安全性を高めるための取組を継続的に行なっています」と話している。
実際の車両を使った実践的な安全教育を
大きなトラックは道路上でひときわ目立つ存在で、それだけに子供たちの興味をそそる。社会・経済活動に不可欠な車両だが、運動能力、認知機能、経験とスキルが未発達の子供たちに重大な危険をもたらすこともある。
幼いころから大型車の周囲で安全に行動する方法を学ぶことは非常に重要だ。
カンガルーのキャラクターがマスコットのブリッキは、子供のための交通安全プログラムを提供する非営利団体で、プログラムでは学校の校庭に大型トレーラなどを持ち込み、運転席から見える範囲や死角、カーブを曲がる時の挙動など、年齢に合った交通安全スキルを身に着けられるようになっているという。
ダイムラーは「セーフティ・トラック」と「セーフティ・コーチ」を安全技術をデモンストレーションするための車両として長く活用してきた。これを視覚的も強調するように目立つラッピングがされている。
このトラックとバスを、子供たちが交通安全を学ぶための実践的な環境としても活用する。
なお、セーフティ・トラックは近年の電動化の進展を反映してバッテリーEV(BEV)になった。長距離輸送も可能な最新型の「eアクトロス600」がベースだ。
BEVトラックは、走行音や強力なトルクによる加速などディーゼル車とは異なる特性があり、一般の道路利用者も注意する必要がある。また走行用の高電圧系に特有の危険もあるが、救助隊は事故や災害時にもこれに対応しなければならない。
BEVバスにも同様のことが言え、電気自動車の普及により道路の「安全」は相応に変化している。最新の車両を使った安全教育と、安全システムの進化は交通事故削減を進めるための両輪となる。
ダイムラーがIAAで発表する予定の新システムは衝突回避・衝突被害軽減のために危険な状況で介入するように設計されているといい、社内の事故調査チームが実際に起きた事故を詳細に分析し、開発した。
同社は、将来の規制要件に先立って新たな安全技術を迅速に量産化し、事故率をさらに低減するという目標を掲げている。
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