ニコラは米国の水素企業と相互供給で合意
いっぽうゼロエミッショントラックのほかに水素インフラ事業(HYLAブランド)も行なっているニコラと、水素の製造・輸送・貯蔵のイノベーターである米国のバヨテックは、ボッシュによる燃料電池システムの量産化の発表と同日付で商用の燃料電池フリートにおける相互供給で合意した。
この戦略的供給契約は、ニコラがクラス8のFCEVトラックを、バヨテックが水素輸送トレーラと低炭素水素をお互いに供給するというもの。
バヨテックが2023年にミズーリ州で(そして2024年からはカリフォルニア州でも)製造を開始する低炭素水素を、ニコラが引き受ける。また最大10台のバヨテック製「ハイフィル」水素運搬バルクトレーラを購入し、高圧の気体水素を製造施設から充填ステーションへ輸送する。
これによりニコラは「トレFCEV」の運送会社における稼働を支える計画だ。ニコラの社長兼CEOのマイケル・ローシェラー氏は次のように話している。
「ニコラとバヨテックは全米で信頼できる水素の供給網を構築するという共通の目標で一致しています。バヨテックの低炭素水素燃料と水素輸送用トレーラは、弊社のクラス8大型FCEVトラックの稼働をサポートする上で重要な役割を果たすでしょう」。
また、バヨテックは今後5年間でニコラの大型FCEVトラックを最大50台購入する。そのうち最初の12台はすぐに(2023年と2024年に)納車される予定だ。
このトラックもバヨテックのハイフィルトレーラと組み合わされ、水素の製造拠点から顧客まで低炭素水素を運搬する。つまり、大型FCEVトラックを中心として製造・運搬・消費の全てが水素によって成り立つ、水素によるエコシステムが構築されることになる。
同社社長兼CEOのモー・バーガス氏のコメントは次の通りだ。
「私たちはこの業界のリーダーと共に、ゼロエミッションのFCEVトラックで、お客様に水素を届けられることを非常に誇らしく思っています。ニコラのような先進的な企業とパートナーを組むことで、弊社の水素ネットワークの展開を加速し、水素エコシステムの成長を促すことができます」。
ニコラ・トレFCEVは500マイル(約805km)の航続距離を実現している。これは排気ガスを出さない大型トラックとしては市販車で最長クラスで、これだけの航続距離があれば様々な輸送が可能となる。たとえばドレージ輸送、インターモーダル輸送(海上コンテナの陸送)、重量物、軽量カサ物、特殊輸送などだ。
バヨテックの水素輸送用トレーラ「ハイフィル」は信頼性が高く、水素の配送拠点や充填施設まで効率的な輸送を可能にする。最終的には水素のリテール販売を行なうステーションでエンドユーザーに届けられ、工場や電力網に接続していない遠隔地のバックアップ電源などにも利用されるという。
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