放射状の錆の跡と錆汁にご注意
ホイールを留めているナットから放射状に錆の跡があるケース、これは要注意です。
この跡は雨水等でホイールのナット座面の部分の錆が走行により遠心力で流れた跡なんです。
新品ホイール、ナットにはこの錆汁は発生しません。ホイールとナットの当たり面、つまり座面に隙間が無いからなんですね。そして雨水等と共に遠心力により流れ出るワケです。
錆汁を放置しておくと、行き着くところはナットの緩み、ホイールのクラック発生やナット脱落、そして脱輪に至ります。
これはJIS、ISOの締結方法に関係はありません。そしてこの原因とは何か? それは各パーツの摩耗によるものが多いです。各パーツとは、ホイール、ナット、そして車両側のホイール当たり面であるハブです。
まずナットとホイールの当たり面の座面ですが、点検や車検、そしてタイヤ交換時に脱着をしますね。新車から座面の清掃、給油。JISの場合はナットのテーパー面に給油し、規定トルクで正しく締め付けをしたとしても、金属同士ですから若干摩耗していきます。ただ痛み具合は少ないと思います。
座面の摩耗、損傷の原因の多くは締め過ぎです。ボルトが伸び切るくらい締め付けてしまうと、JISの場合はナット座面はスライドしながら締め付け、ISOの場合はナットとワッシャーの間に給油をせずにが引っ掛かってスムーズに回らない場合は、座面も共回りして座面とホイール側の摩耗に繋がります。
この締め過ぎによる座面の摩耗は、切削加工のように綺麗な削れ方はしませんので、表面が凸凹になったり、ナット穴が円から楕円に広がり、そのツケはハブとホイールボア部の隙間を無くし、脱着困難になるくらい変形することもあります。
座面が荒れてくると、当然ナットがホイールを正しく押し付け出来ませんので、軸力の低下を招き、ナットの緩みへと進行します。
錆汁が出てくるとホイールとハブの当たり面の摩耗も懸念されます。当たり面の摩耗の限度は0.35ミリとごくわずかですが、この摩耗も当たり面全体で均等には摩耗しませんので、当然当たり方も均等ではなく、正しく締め付けたとしてもホイール側に負担がかかり、ホイールのボルト穴を繋ぐようにクラックが入っていきます。
クラックは論外ですが、錆汁が出てる初期段階での交換をお願いいたします。
また、ハブの摩耗はタイヤ交換時や分解整備時しか確認出来ないため、交換が必要と言われれば交換をお願いいたします。ホイールだけ新品にしても酷い場合は一年程ほどホイールにクラックが入った事例もあります。
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