フレイトライナーやウェスタン・スターなどの商用車メーカーを傘下に持つ米国のダイムラー・トラック・ノース・アメリカは、自社の物流においてEV大型トラクタの導入を開始したことを発表した。最初に採用した4台は、フレイトライナー製の「eカスケイディア」だった。
メーカー自らが物流を電動化したことには、「EVの製造を支えるのもEV」という、象徴的な意味もありそうだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck North America LLC.
自社の物流にEVトラック
北米最大手のトラックメーカー、フレイトライナーやウェスタン・スター、トーマスビルト・バスなどを傘下に持ち、ダイムラーグループに所属するダイムラー・トラック・ノース・アメリカ(DTNA)は2023年11月30日、自社の物流業務にバッテリーEV(BEV)トラックを導入したことを発表した。
ゼロ・エミッション・トラックを製造・販売するだけでなく、自社でも活用することで輸送セクターのカーボンニュートラルに向けた変革において一歩前進した。
車両はもちろんDTNA傘下のフレイトライナー製で、2022年に発売した「eカスケイディア」大型セミトレーラけん引車だ。北米の顧客向けには既に納車を開始しているトラックで、つい先日も「コカ・コーラ」の配送に20台が納車されたことを発表している。
DTNAの自社輸送に導入されるeカスケイディアはインバウンド物流(部品の調達など製造業におけるサプライチェーン上流の物流工程)に配備され、トラックメーカー自身が自社フリートにBEVトラックを活用することで、その高い可能性をアピールする狙いがある。
公共のインフラ整備が充分ではないというBEVトラックの課題に対してDTNAは「電動アイランド」を活用する。これは大型車用としては初めて2021年にオレゴン州ポートランドにオーブンした施設で、DTNAが急速充電器の整備などを行なっている。
DTNA本社のすぐ近くに位置し、「持続可能な物流」というビジョンに向けてゼロ・エミッション商用車の開発・試験・実践配備を加速するための施設だ。
DTNAが最初に配備するeカスケイディアは4台で、従来通りの物流ネットワークにシームレスに統合される。最終的には全米での生産物流とアフターマーケット業務の全てをカーボンニュートラル化する計画だ。
今回導入したトラックは、太平洋岸北西部の複数のサプライヤーから自動車部品をピックアップし、ポートランドにあるDTNAの集荷センターに運ぶ業務を行なう。同センターは物流の最適化を目指したもので、ここから全米(米国とカナダ)各地の製造工場や、アフターマーケット部品の配送センターへ出荷を行なっている。
DTNAのオペレーション&特殊車両担当シニアVPのジェフ・アレン氏は次のようにコメントしている。
「電動トラックを弊社のインバウンド物流ネットワークに統合することで、私たちはただトラックを開発・製造するだけでなく、その環境インパクトを低減し、より持続可能な未来へ貢献することを目指しています。
持続可能性は私たちのコーポレート・ガバナンスの基礎です。弊社は、従業員、環境、そして社会全体に対する責任を何よりも重視しています」。