AIにより人手作業並みの輸送品質を維持
物流業界では、労働人口減少による労働力不足や、2030年の輸送力不足(内閣官房の「物流革新緊急パッケージ」の資料によると、何も対策を講じない場合、国内の物流は2024年度に14%、2030年度に34%の輸送力不足に陥ると試算されている)を背景に、トラックドライバーの労働負担の軽減など労働環境の改善が求められている。
通常、荷積み作業では、トラックドライバーや積み込み作業者が荷物のサイズ・形状・重さのほか、送り状の備考欄の記載内容や梱包資材の状態などを瞬時に確認して適切に取り扱っている。ただ積み込むだけではなく、重たい荷物は下に、軽くて壊れ物が入っていそうな荷物は備考欄を確認して手前に荷積みするなどの細心の注意を払う必要がある作業だ。
佐川急便では、将来的な労働力および輸送力不足に対応するため、以前より荷積みロボットの導入を検討してきた。しかし輸送品質を維持したまま人手作業を代替することは困難であり、労働負担の軽減に向けた大きな課題となっていた。
こうした背景から、今回のプロジェクトでは4社が協業する座組を整えた。佐川急便グループの荷積み現場に即した形のロボットを Dexterity が開発し、住友商事の総合力を生かしたシームレスな実証実験を共同で行なう。
この新しい荷積みロボットには、Dexterity が有する米国の物流業界で培ったロボット技術に高度なAI技術を搭載し、佐川急便における物流オペレーションを学習させることで、佐川急便が求める輸送品質の実現を目指している。
人手作業の代替として、トラックの庫内に最適な荷積み作業ができるロボットの開発は、国内の物流業界における初めての試みとなる。この取り組みにより、トラックドライバーや積み込み作業者の業務負担軽減や荷役作業の省人化を実現したい考えだ。
また、実証実験によってAI搭載の荷積みロボットが佐川急便の求める輸送品質と人手作業の代替として充分な機能を果たすことが確認でき次第、早期に実用化を進めて行く。具体的には、今後新設される佐川急便の大規模中継センターなどへの導入を検討するという。
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