豊田自動織機は1月29日、同社製自動車用ディーゼルエンジンの社内試験データに違反行為があったと発表し、該当エンジン3機種の出荷を停止した。3機種の中には、小型トラックの「日野 デュトロ1.5トン積」「トヨタ ダイナ1トン積系」が搭載するエンジンも含まれており、両車の出荷もいったん停止となっている。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/トヨタ自動車、日野自動車、フルロード編集部
出荷基準は満たすものの社内試験で不正な計測操作
これは、昨年3月の豊田自動織機(以下「織機」)における同社製エンジンの認証不正行為を受け、同社の社内資料と業務内容を検証してきた特別調査委員会(外部有識者で構成)の調査報告書で明らかになったもの。
織機製エンジンには、フォークリフト用および建機・発電機用の産業機械向けと、トヨタ自動車から開発・生産を受託している自動車向け(SUV、小型商用車、トラック用)がある。昨年不正が発覚したのは前者の産機向けだが、今回それに加えて後者の自動車向けでも判明した。
ただ、織機製自動車向けエンジンの認証試験(型式指定の申請に不可欠な試験)は、社内で試験していた産機向けとは異なり、納入先であるトヨタによって行なわれ、その試験結果も、出荷基準を満たす性能を有することが確認されていた。
しかし、エンジンの最高出力値に関するデータは、織機の社内試験データがトヨタへ提供されることもあったため、この社内試験について調査委員会が調べたところ、燃料噴射量を不正に操作していた例が一部、存在していることが判明した。
性能目標の達成と提出データの「見栄え」が原因か
つまり、結果的にエンジンは認証試験をクリアしているが、不正に操作したデータが使われたことに変わりはない、というわけだ。
このような不正操作が行なわれた理由は、所期の開発目標値を確実に達成するためと、複数ある試験エンジンおよび装着部品の個体差による機関性能曲線(トルクカーブ)のバラつきを抑えて、トヨタに提出する社内試験データの「見栄え」を良くするためだった。
不正な社内試験の手法としては、エンジンECUのソフト書き換え、インジェクタ(燃料噴射器)の直接操作、両者を併用した操作などが行なわれていたという。