新車の登場から一定の時を経て行われるモデルチェンジ。これはよくある話だが、フルモデルチェンジではなくビッグマイナーチェンジと呼ばれる変更もある。これはいったいどういうことなのか? 今回はその秘密を探っていこう。
文/長谷川 敦、写真/日産、三菱自動車、レクサス
【画像ギャラリー】ビッグマイナーチェンジってフルじゃないの?(15枚)画像ギャラリーマイナーチェンジだけどフルモデルチェンジに近い?
市販車で実施されるモデルチェンジには、名称を引き継ぎつつも新たなクルマに生まれ変わるフルモデルチェンジと、細かい改良を施したマイナー(モデル)チェンジの2パターンがある。
フルモデルチェンジが行われるのは、発売から一定時間が経過したことによって失われてしまった新鮮さを取り戻し、さらに技術の進歩による変更を加えることが理由になるが、商業面での要素が強いのは間違いない。
実際、ユーザーもある程度の期間そのクルマに乗っていると、どうしても飽きが出てしまうのは避けられないし、クルマだって乗れば乗るほど劣化してしまい、どこかの段階で新しいクルマに変更したくなる。
この時、自分が乗っている車種がモデルチェンジされれば乗り換えのいいタイミングになる。
もちろん、長期にわたってほとんどモデルチェンジが行われずに発売時のイメージや技術を保ち続ける車種もあるが、こうしたクルマは稀といえる。
マイナーチェンジもその車種のイメージをリフレッシュするチャンスにはなるが、フルモデルチェンジに比べれば外観上の変化が少ないことが多く、どうしても“改良”の印象が強くなる。
ところが、ここでビッグマイナーチェンジという言葉が出てくる。
これは諸事情によりフルモデルチェンジといえるほどではないが、それでも一般的なマイナーチェンジを大きく上回る変貌を遂げた場合に使われる言葉だ。
では、どうしてフルモデルチェンジではなくビッグマイナーチェンジと呼ぶのか?
あえてマイナーチェンジにとどめる理由は?
大きな変更にもかかわらず、フルモデルチェンジではなくビッグマイナーチェンジと呼ぶ理由のひとつに、型式番号が変わっていないからというものがある。
メーカーが自社のクルマをフルモデルチェンジする場合には国土交通省に届け出を行い、その車種の型式番号が変更される。
それに対してマイナーチェンジ、あるいは車種によって行われる年次改良では型式番号を変更することはない。
つまり、たとえ内容が大きく変わっていても、型式番号が同じままならそれはマイナーチェンジであってフルモデルチェンジではない。
メーカーの経営戦略や予算、そして販売状況など、型式番号が変更されない理由もいくつかあり、ライバル車のフルモデルチェンジに対抗してビッグマイナーチェンジが行われる場合もある。
加えてモデルのデザインが不評で、本来のフルモデルチェンジより短いスパンで大幅なフェイスリフトなどを断行した場合もビッグマイナーチェンジといわれる。
ただしビッグマイナーチェンジと一般的なマイナーチェンジに明確な違いはなく、メーカーがどのように表現するかで変わってくる。
また、一般ユーザーにとって国土交通省への届け出うんぬんは基本的に関係のない話であって、それゆえに実際にはビッグマイナーチェンジであってもフルモデルチェンジとうたうケースもある。
では、実際にはどんなクルマでビッグマイナーチェンジが行われたのか、次の項で見ていきたい。
















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