ビールから二酸化炭素が消えそう。といってもビールの泡の話ではなく、ビールを運ぶトラックの話だ。
国際的なビール醸造会社・ハイネケンはスウェーデンのアインライド社と提携し、オランダ・ドイツ間の国際輸送に再生可能電力を利用するバッテリーEVトラックを導入する。なおこのソリューションは近い将来に別の国にも展開する予定だという。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Heineken N.V.
ハイネケンがビールの国際輸送を始めて電動化
オランダを本拠とする国際的なビール醸造会社、ハイネケンはスウェーデンの新興企業で貨物輸送の電動化ソリューションを提供しているアインライドと提携し、国境を超えるビールの国際輸送の電動化を開始する。
バッテリー電気(BEV)トラックを、オランダにあるハイネケンのデン・ボッシュ醸造所とドイツのデュイスブルク配送センター間の輸送に投入するとともに、全て再生可能エネルギーによる電気で運行する。
これによりCO2排出量は年間で930トン削減される見込みであり、ビールの国際輸送の実運行では初めての電動化・脱炭素化となる。
ハイネケンは2040年までに同社のバリューチェーン全体でネット・ゼロを実現すること掲げているが、炭素排出量の12%は物流部門によるものだという。サプライチェーン戦略ディレクターを務めるアルイエン・ファン・デル・ワウデ氏は次のように話している。
「ロジスティクスの脱炭素はハイネケンの『ネット・ゼロ』コミットメントを達成する上で重要な役割を果たします。現段階では貨物輸送の脱炭素においてはBEVトラックが最も優れた技術です。
アインライド社はその知識と経験、ネットワークにおいて競争力のあるエンドツーエンドの電動貨物輸送サービスを長期にわたって提供する能力を持っています。これにより、トラックメーカーと運送会社、荷主、ドライバー、そして当局を結び付け、スムーズにロジスティクスを構築することができます。
彼らは素晴らしいパートナーです」。
将来的に別の国にも展開予定
プロジェクトの第一段階としてアインライドの提供する商品を「フルに」配備する。すなわち再生可能エネルギーで動くBEVトラックと、充電インフラの確立、そしてAI(人工知能)を搭載しエコシステム全体を統括する運行システム「アインライド・サガ」の統合である。
最初のフリートはメルセデス・ベンツ(ダイムラー)のBEVトラック「eアクトロス300」5台で構築し、フル積載で毎日10運行(一台当たり540km)を予定する。
ルート運行を支える充電インフラはケムパワー製の充電ソリューションがベースとなっており、これも「サガ」に組み込まれている。サガはデータに基づきルートの最適化とエネルギー消費の最小化、そして排出量の詳細な監視を行なう。
アインライドによると、ディーゼル車での輸送と比較した場合、これによって車両によるCO2排出量を95%削減できるという。
同社で欧州・中東・アフリカ担当ゼネラルマネージャーのロバート・ジーグラー氏は次のように話している。
「アインライドは持続可能性において高い野心を持ったチームで、排出削減に向けた道筋を明確に定義しているハイネケンは理想的なパートナーだと考えています。
ハイネケンのバリューチェーン全体でのネットゼロに向けた行動において、国境を超えるビール輸送を始めて電動化するにあたり、私たちがそれを手助けできることをうれしく思います」。
今回の提携は、CO2の排出量を減らし、国境を超えるビジネスとドライバーを支援するという共通する目標の始まりを示している。このパートナーシップは近い将来にも別の国にも拡大する予定だという。
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