トラック輸送の仕事は単純労働ではない
クルマを運転するだけだから誰でもできる単純作業みたいな言われ方も目にしたことがあります。僕は、運転手は一人前になるには時間のかかる専門職だと思っています。実際、トラックの運転が専門職だった一昔前は、長距離なんか乗っていたら高収入が可能でした。
そもそも運転手をやっている人間は「早く家に帰りたい」とか、「休みが欲しい」とか、サラリーマン的な考えの人間は少ないと思います。労働時間を短くすれば運転手が集まるっていう単純な話ではないはずです。
トラックに限った話じゃないですが、バスやタクシーなども運転手のなり手が減っているらしく、免許を取りやすくするなど、いろいろな動きがあるようです。経験の少ないバスやタクシーに、僕は怖くて乗れないです。
やはり経験値あっての専門職じゃないですかね。なり手がいないから免許や採用条件を下げるって、話の根本が違うので何の解決策になってない気がします。トラック運転手も免許があってナビがあるから大丈夫って話じゃないですよ。
荷降ろし作業があるからなり手が減っているとかの話題も出ていますけど、仮に荷扱いは別の人がするとなったら、さらに運賃が下がると思います。荷扱い専門の人の賃金も発生するわけだし、輸送だけの運送会社に今と同じ運賃払いますか、ということになるのではないでしょうか?
それと2024年問題対応策で大型車の最高速度が上げられましたね。最高速度を上げることで労働時間等がクリアできるなんて本気で考えているんでしょうか? そもそも大型車には速度リミッターが付いていて時速90kmまでしか出ませんが、部品屋や大手路線屋は(燃費のために)競うように「社速」を下げて時速80km以下で高速を走っています。
リミッター解除の費用を国が持つんですか? 大手が社速を上げますか? でも、最高速度を上げることによって、着時間など荷主の要求は今より厳しくなってくると思います、法律上の最高速度が10km上がったとしても何の解決にもならないと思います。
それと、PA・SAの長時間駐車が問題になり「60分休憩マス」などができていますけど、意味ありますか? 1日の運転時間が決められ、休憩を取れと言われ続け、どこかに停まらないといけないのに、高速のPAやSAには停める場所もない。下道には大型車を停められる場所がない。はっきりいって運転手は八方塞がりですよ。
「働き方改革」という悪法をやめる勇気を
まだまだ言いたいことは山ほどありますが、自分の言いたいことが上手く伝わったのか心配なところです。
いつものことですが、政治家や有識者といわれる人たちは本当の現場を知りません。大手運送会社との会議などを踏まえて決めたであろうこの問題は「机上の空論」「綺麗事」に過ぎないと思います。
もう一度言いますが、今までと同じ日常を過ごすために2024年4月から実施された「働き方改革」、勇気を持ってやめませんか? それですべての問題は解決します。
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