大型EVトラックをリードするのはMAN「eTGX」!? 世界初の比較テストが欧州で実施される

大型EVトラックをリードするのはMAN「eTGX」!? 世界初の比較テストが欧州で実施される

 大型トラックの電動化は、日本では「まだまだ」という感もあるが、先行する欧州では各社のラインナップも出そろい、この度、世界初の本格的な比較テストが行なわれた。

 欧州メーカー製の6台のBEV大型トラックの中で、総合得点でトップに立ったのはMAN「eTGX」だった。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/MAN Truck & Bus SE・Der Trucker

BEV大型トラックで最高得点はMAN「eTGX」

大型EVトラックをリードするのはMAN「eTGX」!? 世界初の比較テストが欧州で実施される
テストのための供試車両。左からスカニア「45R」、MAN「eTGX」、イヴェコ「S-eウェイ」、DW「HC900E」、MB「eアクトロス600」、ボルボ「FHエアロ・エレクトリック」

 ドイツのトラック専門誌によるバッテリーEV(BEV)大型トラックの比較テストが行なわれた。BEV大型トラックは、電動化で先行する欧州でようやく市場展開が始まったところで、専門家による本格的な比較は世界で初めてと思われる。

 比較は、ドイツの「トラッカー」誌(der Trucker)が欧州の自動車ジャーナリストを集め、長距離輸送用の大型トラック(トラクタ)としての評価を行なったもの。

 比較対象の車両は全て欧州メーカー製で、スカニア「45R」、MAN「eTGX」、イヴェコ「S-eウェイ」、デザインヴェルク「HC900E」、メルセデス・ベンツ「eアクトロス600」、ボルボ「FHエアロ・エレクトリック」の6台だ。量産化・出荷前の車両を含む各社の最新世代のラインナップである。

 なお、欧州に進出している中国メーカーや、ルノーやDAFなど一部の欧州メーカーも含まれておらず、欧州でBEVトラックを展開する全メーカーの比較ではない。

 数日間にわたる比較試乗の結果、総合得点で最高点をマークし、他車をリードしたのはMANの「eTGX」だった。商用車専門の自動車ジャーナリストは、eTGXの空車重量の軽さ、調和のとれた駆動系、シンプルで洗練された運行コンセプトなどに高い評価を与え、全体的なパッケージとしてトップスコアを獲得した。

 MANトラック&バスでセールス&カスタマーソリューションを担当する、フリードリヒ・バウマン氏はプレスリリースにおいて次のようにコメントしている。

 「今回の比較テストは、MANが開発したTGXの電動バージョンが傑出した製品であることを改めて証明しました。MAN eTGXはモジュール式のバッテリー構成でも高いスコアを獲得しています。バッテリーパックは3~6基の柔軟な構成が可能で、航続距離、積載量、充電時間など、用途に合わせた最適な車両を選択できます。例えばスーパーマーケットの市内配送、建築資材の地場輸送、長距離幹線輸送などそれぞれの用途に合わせて車両を構成できます」。

BEVトラックの拡張性を追求

大型EVトラックをリードするのはMAN「eTGX」!? 世界初の比較テストが欧州で実施される
国際的に活躍するジャーナリストが、モーター、駆動系、ブレーキ/回生ブレーキ、快適性、安全性、コンセプト、キャビンなどを評価。eTGXは568点(590点満点中)でトップだった

 MANのBEVトラックはボディ側の拡張性にも優れている。カスタマイズ可能なシャシーには、ホイールベース、キャブ、モーター出力、架装位置など業界で求められる様々な要件を盛り込んだ。その結果、組み合わせにより実現可能なバリアントは100万種類を超えた。

 eTGX供試車両は量産型のセミトラクタで、長距離輸送を前提にした車両だ。組み合わされるトレーラは床面地上高が950mmと低く、トレーラの内法高が3メートルに達する容積型の運搬に特化したコンビネーションだ。欧州では「ウルトラ・セミトレーラ・トラクタ」と呼ばれる車両となる。

 ホイールベースは3750mmとコンパクトで、バッテリーパック(ニッケル・マンガン・コバルト電池)を最大構成の6基搭載し、総容量は534kWh。4段の自動化トランスミッションを備え、330kWの馬力と1150Nmのトルクを発揮する電動モーターがシャフトを介して後輪を駆動するセントラルドライブ方式となる。

 ジャーナリストたちは、比較テストの最後にBEVトラックにおけるもっとも差し迫った問題についても議論した。つまり、「BEVトラックは既に市場にあるのに、充電インフラは全く足りていない」ということで、ドイツおよび欧州の政治家たちに問題を提起した。

 なお、MANは顧客がBEVトラックを購入する前に「360度eモビリティコンサルティング」を提供している。適した車両を提案するだけでなく、コスト最適化、ルート分析、フリートの最適化などそれぞれの状況に合わせた助言を行なうとともに、これに基づいて充電インフラに関するアドバイスも提供しているそうだ。

【画像ギャラリー】世界初の比較テストでトップに立ったMAN「eTGX」(3枚)画像ギャラリー

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