日本もドライバーの賃上げに取り組む必要がある
日本では全日本トラック協会が「トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」調査を実施しているが、2024年9月13日に2023年度版が公開された。それによると、賞与・手当込みの1か月平均賃金は一般貨物で37万2200円、特積みで36万0500円だった。年間(12か月)になおすと、単純計算でそれぞれ446万6400円、432万6000円だ。トラック運送業全体の平均賃金は、前年比で1.3%の「減少」だった。
平均年収が1100~1400万円という米国トラックドライバーの実態は、日本のドライバーからしたら「うらやましい」の一言ではないかと思う。なぜここまで差が開いてしまったのか?
社会保険と税金、インフレ率、経済成長率、輸送の需給ギャップ、為替の影響もあるので単純に比較はできないが、日米の商慣習の違いは指摘するべきだろう。一般に米国はメーカーの出荷価格に運賃が加算され小売価格が決定する「足し算」、日本は最終価格から運賃が差し引かれる「引き算」方式とされる。
このため米国では進行するインフレがドライバーの賃金に反映されやすく、反面、物価高が消費者の家計を直撃する。対して日本は物価の変動が抑えられ、(消費者としては助かるが)インフレがドライバーの賃金に反映されにくい。
また、メーカーとしては原材料費の高騰はともかく運賃を理由にした値上げが難しく、運送会社自らが積極的な価格交渉を行なわないと運賃が上がらない=ドライバーの賃上げ原資が確保できないという構造が、日本の運送業界にはある。
とは言え、「物流の2024年問題」に代表されるように、日本のトラックドライバー不足は米国以上に深刻で、社会的な課題にもなっている。これ以上日米の差が広がらないよう、ドライバーがその労働に見合った賃金を受け取れる環境の整備に取り組むことは、運送業界以外にとっても重要なのではないだろうか。
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