国産乗用車メーカーの2021年度中間決算と年度利益見通し
今回の半導体不足の要因には、1)コロナ禍による世界経済の悪化を見越した、昨年夏時点でのウェファー(半導体の材料)のインプットの削減、2)デジタル化の好景気を受けた民生電機と、突然需要が期待以上に回復した自動車産業との半導体の奪い合い、3)今年夏のアジアにおけるコロナ感染拡大の影響で行なわれた都市ロックダウンがある。
特に3)の影響は甚大で、2021年の後半だけで国産メーカーの世界生産を200万台も減産を引き起こす原因となった。
やはりカギとなるのは半導体。しかし、今回の決算では新しい「パラドックス」も生じているという
作れば作るほど利益が出て採算も好転するというのが、高い固定費を抱える装置産業の自動車業界。しかし物理的な在庫が消滅してしまったことで(供給の減少)→新車の値引きが減少→売れ筋商品に寄せ販売店への奨励金も減少→広告宣伝費も減少→中古価格上昇→貸倒引当金は繰り戻り益という新たな循環が生まれた。
新型コロナウイルスは、減産が利益率向上に繋がる逆説を生み出した。しかしここにはアフターコロナによる再度の「逆回り」のリスクも孕む。今後の連載にもご期待ください。