欧州車が採用しているボルト固定式では、ネジの接続面は、ホイールハブのねじ山とボルトのねじ山の1点。一方、日本車が採用しているナット固定式の接続面は、ホイールハブにハブボルトを固定している部分と、そこにナットを固定して締め付ける部分の2点接続。剛性低下の要因になりやすい接続点が少ないボルト固定式の方が、高い剛性が得られる(PHOTO:AdobeStock_ronstik)
欧州車は、ホイール接合部の高い剛性を得るためにボルト固定式を採用(PHOTO:Adobe Stock_EdNurg)
機能的には優れているボルト固定式だが、作業性の悪さが最大のデメリット。タイヤ交換は一人では難しく、専用工具が必要な作業になる。また、取り付け時にハブ側の雌ねじを潰してしまうと、ハブごと交換することになり、交換費用がかかってしまうというデメリットも(PHOTO:AdobeStock_Ryolemon)
日本車が採用しているナット固定式は、ボルト固定式に対して剛性は劣るが、最大のメリットはタイヤ脱着の作業性が容易なこと(PHOTO:Adobe Stock_ Alex)
剛性に関しては日本の走行条件下では問題のないナット固定式だが、唯一のデメリットは、部品の点数が増えて、ホイール重量が増えること。重量増しは僅かだが、バネ下質量が増えるとクルマの応答性に影響を与え、重いホイールを履いたような悪影響が出る可能性がある(PHOTO:AdobeStock_FunnyLemon)
2022年7月に日本デビューしたレクサスIS500。ホイールの固定方式を、ナット固定式からボルト固定式に変更
バネ下質量の軽量化はクルマ全体の軽量化の10倍の効果があるといわれており、バネ下が軽くなればサスペンションの動きが軽快になり、操縦安定性も向上する。人間が軽いスニーカーを履くと、フットワークが良くなるようなものだ(PHOTO:写真AC_MARINES)
機能的に見たらボルト固定式が正解、でも日本ではオーバースペック。グローバルスタンダードの観点からみて、将来的には、日本が機能性に優れるボルト式に変更するという方向になりそうだが、日本の速度環境下では遜色ないので、すぐにボルト化されることはないだろう(PHOTO:写真AC_fujiwara)