スバルのWRXといえば、STIとS4をラインナップする人気のスポーティモデル。
しかしながら、普段使いなども考慮に入れ始めると、STIを選ぶか、S4にするのか、悩ましい選択になる。はたしてどちらがおすすめか?
両モデルの強みと弱点を比較しながら検証してみた。
文:国沢光宏
ベストカー2016年10月10日号
極限の性能か? それとも扱いやすさか?
動力性能で比較するなら、迷うことなくSTIだ。
最高出力こそSTIが308ps、S4が300psで大差がないと思えるかもしれないけれど、サーキットでのラップタイムなどで60㎏の車重差とマニュアルミッションとCVTの違いが大きく出てしまう。
筑波サーキットを走ると2秒程度の差となるのだ。ただS4ならコーナーのギアで迷うこともないし、アクセルを踏めば常に最適のギアレシオを選んでくれる。
加えてS4のエンジンってアクセルレスポンスのいい直噴。
一般道ならSTIと同じくらいの速さで走れるんじゃないか? ということから、私は新しいラリー車のベースとしてS4を選んだのだった。結論やいかに?
弱点もあればポテンシャルを感じる部分もある感じだ。
弱点は、純粋な競技用として使うとやはり発進加速が厳しいこと。S4のCVTにはローンチモードがついておらず、高回転をキープしてのスタートができないため発進加速だけで2秒くらい遅れる。
そしてアクセル全開を続けていると熱的に厳しくなり、高温時のミッションを守るため自動的にパワーを落とす「セーブモード」に入ってしまう。
ポテンシャルを感じる部分としては、やはりどんなコーナーでもギアレシオが合うこと。上手にシフトダウンさせていけば、常にベストなギアレシオで加速できる。何より楽チンだ!
クラッチを踏んでギアを変えなくてもいいから、運転に専念できるのだった。熱も一般道なら問題なし。課題山積なれど、ラリーのほうでは少しずつ改良を加えていき、最終戦までには背中が見えるくらいの速さに持っていきたいと思っています。
ふだん使いの4ドアGTとして評価するなら、S4が有利な部分が多い。なかでもアイサイトVer3はすばらしい!
スポーツモデルとはいえ、事故を未然に防ぐ能力を持つアイサイトの魅力たるや絶大。というか、走りを楽しむモデルだからこそ、社会に対する加害性を大幅に抑えてくれる自動ブレーキが必要だと思う。
現在販売されている高性能車の自動ブレーキとしては世界イチだ!
すばらしいアダプティブクルコンもついているため、ロングドライブの相棒としてもピッタリ。それでいて動力性能は文頭に書いたとおり、アベレージ速度の高い海外ラリーで走ってもポテンシャルを感じさせるレベル。
もちろんふだんは奥さんが子どもの送迎として使うことだってできてしまう。
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