三菱の伝家の宝刀「S-AWC」×4モードで悪路も安心
デリカD:5は「ミニバンの顔をしたハードクロカン」という唯一無二の立ち位置を持つ。今回その真骨頂を磨いてきたな、といえるのが、ランエボのDNAを受け継ぐ伝家の宝刀「S-AWC(4WD統合制御)」の採用にある。
今回の改良では、このS-AWCで悪路走破性だけでなく直進安定性や操縦性も磨き、状況に応じて最適化する狙いが明確。ドライブモードはNORMAL/ECO/GRAVEL/SNOWの4つを用意し、路面に合わせた制御を選べる。加えて下り坂で速度を一定に保つ「ヒルディセントコントロール」も組み合わせ、ラフロードでの安心感を底上げしている。デリカの“道具としての強さ”を、ソフト面でさらに伸ばしてきた。
安全・運転支援の「三菱e-Assist」もアップデート。衝突被害軽減ブレーキシステムは、従来の車両・歩行者に加えて自転車検知に対応。さらに誤発進抑制機能は後退時にも対応し、うっかり踏み込みのリスクを減らす。
細かいけれど効くのが、パーキングセンサーの強化だ。前後バンパー周辺の障害物を、メーター表示と音で知らせる機能を採用。マルチアラウンドモニターもカメラ画質を約3倍に向上させ、左右確認用の「サイドビュー+フロントビュー/サイドビュー+リヤビュー」表示や、駐車場などでの移動体検知機能も追加している。加えて「先行車発進通知」も備わり、信号待ちの“出遅れ防止”にもひと役買ってくれそうだ。
19年目の大進化&ここにきて売れまくり
2019年の大幅改良で、D:5はダイナミックシールド顔と上質インテリア、2.2Lクリーンディーゼル+8速ATなどで完成度を一段引き上げた。そのうえで今回のマイチェンは、①見た目のタフさをさらに分かりやすく、②室内の質感と使い勝手を現代化し、③四駆制御と安全装備を“家族にも刺さる方向”へ磨き上げた内容になっている。つまり「デリカの得意技を、より日常寄りにしてきた」アップデートだ。
現行型デリカD:5の登場は2007年1月。約20年前となる。「さすがに古くないか?」と思う人もいるだろう。しかしデリカD:5の販売台数は2024年が年間約2万台近くで三菱登録車No.1を記録し、2025年上半期(1〜6月)も月平均2,000台超えの好調ぶり。過去の年間実績や月平均でも歴代最高水準の販売台数を記録・維持している。
つまり市場にもユーザーにも愛され続けているわけだ。人気の理由はもちろん「唯一無二のミニバンSUV」というキャラクターにあるが、合わせてリセールバリューの高さもある。ベストカーで渡辺陽一郎氏(カーライフジャーナリスト)がデリカD:5の残価設定ローンの3年後の残価(残存価値)を算出したところ、新車価格の55%、5年後でも43%に達すると出た。これは国内トップクラスの人気車といえる。
予約注文は10月30日から受付開始しており、12月18日の時点ですでに約5000台の予約が入っているというから、デリカ人気の底堅さに舌を巻く。価格は約450万〜約495万円(税込)。
最後にひと言。デリカD:5の魅力は「ミニバンの利便性」と「SUVの走破性」を両立させた「唯一無二」にある。今回の改良は、その唯一無二をさらに濃くした印象。デリカはまだまだ伸びしろがある——そう思わせる改良である。
コメント
コメントの使い方