新型アクア最速試乗! 変わった? 変わってない? この積み重ねこそが王者アクアの真骨頂

■求められているものが変わったアクア

 まず本記事冒頭で示したとおり、「アクア」というのはトヨタ車のなかでも「新しさ」の象徴的な存在としてデビューした。それから5年半たって、状況は大きく変わっている。

 販売台数でトップを競い合っていた同門のプリウスは2015年12月にプラットフォームから一新するフルモデルチェンジを受け、JC08モード燃費は(燃費トップグレードで)40.8km/Lという驚異的な数値を達成。

 ボディ、駆動ユニット、制御システム、それらを包括するプラットフォームまで丸ごと最新技術で新設計すれば、燃費はここまで伸びるのだ、ということを示してみせた。

 対するアクアの燃費は今回のマイチェンで伸びたとはいえ38.0km/L。プリウスより軽く小さいボディを持ちながら、燃費値では及んでいない。

 周囲の状況も変わった。

 デビュー当時はほぼ独壇場だったコンパクトハイブリッドクラスに、今はフィットハイブリッドがいる。スイフトハイブリッドもいる。同門にはヴィッツハイブリッドだって控えている。

 クロスオーバーSUVではあるがハイブリッド専用車でもあるC-HRとだって比べられるだろう。現行デミオのクリーンディーゼルだって強敵だ。

 そうしたなかでも、アクアは2016年の年間車名別販売台数では2位(乗用車部門)だし、2017年5月の月間車名別販売台数でも5位(7551台)につけている。立派な数字だ。

 つまり、アクアはデビュー当初と現在とでは、「求められているもの」が変わっているのだと思う。

 かつては「新しさ」を求められていたのだろうし、それに充分応えていたのだけど、2017年6月の時点では、アクアに必要なのは(一般ユーザーには気づかないかもしれないけれど)地道な進化と、「信頼性」や「安心感」なのだ。

 もちろん燃費トップでなくなっても、多くのライバルに囲まれていても、アクアが魅力的な車種であることに変わりはない。

 コンパクトカークラスのハイブリッドには依然需要があるし、この独特でキュートなスタイルを愛するファンだって多いだろう。乗り心地にも定評がある。

 燃費重視の車種だけに、設定するためにはドライブシャフトを通す必要がある4WDグレードは存在しない。

 しかし日本の国土は、ほとんどの地域で年に1回以上は雪が降る。多くの地域では、雪道を走るための工夫が必要だ。それならばと車高を上げたSUV風の「Crossover」を用意した。

 アクアは新型に変わった。それは大胆ではないけれど、小さな工夫の積み重ねであり、

 アクアであり続けるため、アクアのファンに応え続けるための変化であった。

アクア
アクア

【新型アクア主要諸元 G】

  • 全長4050mm×全幅1695mm×全長1455mm
  • ホイールベース2550mm
  • 最低地上高140mm(Crossoverは170mm)
  • 車両重量1090kg
  • エンジン直4、1.5L+モーター
  • 最高出力74ps(+モーター61ps)
  • 最大トルク11.3kgm(+モーター17.2kgm)
  • 前輪駆動のみ
  • JC08モード燃費34.4km/L(「L」のみ38.0km/L)
  • 価格206万2800円

 ※Crossoverのみ2017年7月から発売予定(そのほかは6月から)

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